乳がんになってみてあらためてヨガのよさを確認しました

取材・文●吉田燿子
発行:2014年10月
更新:2015年6月


病気を経験して すべてが好転した

退院後ファンになった「西武ライオンズ」の応援をするヤマダさん(所沢球場で)

現在、東京・目黒で、乳がん患者を対象にヨガの指導をしているというヤマダさん。ヨガを通じて知り合った患者同士の絆は固く、ヤマダさんにとってかけがえのないものになっているという。

「自分から身体を動かそうという意志があるせいか、ヨガで知り合う人たちは、すごく前向きです。乳がん経験者同士だからこそ、不安な気持ちや情けない気持ちも打ち明けられるし、『大丈夫だよ』という言葉も気兼ねなく言える。言葉の重みが違うので、絆が固いんです。私は〝乳友(ちちとも)〟と呼んでいるんですが……すごくいい仲間ができたと感じています」

今のところ経過は順調だが、化学療法を選択しなかったこともあって、再発の不安は常につきまとう。術後2年目、右の乳房に小さなしこりが見つかった。だが、7月下旬に術後3年目の検診でマンモグラフィを撮ったところ、しこりは「消えていた」という。

もちろん、闘病の支えになったのはヨガだけではない。家族や友人の支えも大きな力になった。病気になって、すべてがよい方向に好転した、とヤマダさんは語る。

「発病前は夫との会話も少なく、親と同居ということもあって、いい嫁ぶって勝手にストレスを溜めて乳がんになったのかなぁと今では思っています。でも、がんを経験してからは、自分がやりたいことは遠慮せず、やりたくないことは『やりたくない』と言えるようになった。夫と同じ趣味もできて、夫婦の会話も増えました」

夫婦共通の趣味とは「西武ライオンズ」。地元球団の応援にのめり込んだのは、退院祝いに、夫が所沢球場に連れて行ってくれたのがきっかけだった。

「球場もきれいだし、売り子の女の子も可愛いし、初めてのナイターは本当に楽しかった。観戦中、思わず騒いでいる自分にびっくりして……。今はライオンズのファンクラブにも入っています。野球を通じて地元に友達ができ、夫婦の絆も深まった。もう、やめられません(笑)」

ヨガセラピーの理想形「リボンヨガ」を広めたい

今年8月下旬、ヤマダさんは、乳がんや婦人科系のがんサバイバーを対象とした「リボンヨガ」を始めた。本誌でも活躍する森川那智子さんが主宰するヨガセラピーだ。リボンヨガという名称には、がんのリボン運動と、Re-born(再生)という2つの意味が重ねられている。

「がん経験者は、体と心の傷や再発の不安、後遺症や副作用など、大なり小なり悩みを抱えています。私は女性のがんサバイバーに、ヨガを通じて体や呼吸を感じ、『今、ここに生きている』と感じてもらいたいのです」

そういって、目を輝かせるヤマダさん。リボンヨガとは、自分自身が目指すヨガセラピーの理想形でもあるという。

「恥ずかしいことをさらけ出し、泣きたい時は泣き、ハグしたり大笑いしたりしながら、一歩でも半歩でも前に進めたら、間違いなく『今を生きている』実感が湧くと信じています。がんを経験した私自身も、ヨガに救われた。リボンヨガを通じて、女性のがんサバイバーが笑顔をつなげていけたら……。読者の皆さんにも、ぜひ気軽に参加していただきたいと思います」

全身の代謝を高める「ねじりのポーズ」を決めるヤマダさん

乳がん患者さんにヨガ指導をするヤマダさん(ヨガスタジオBODY&MINDで
<リボンヨガ:毎週第4火曜日に開催>
場所:こころとからだクリニカセンター(東京都新宿区高田馬場2-14-9 明芳ビル501号)
☎03・3208・5504 HP:www.kokokara.co.jp

ヤマダリエさんのブログ mar-R*:ameblo.jp/mar-sukha/
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