妹を乳がんで失って 検診の大切さを知り早期発見につながる
一歩踏み込んで回答できるようになった
ところで、橋本さんは現在、アロマ占星術家/ホロスコープセラピストとして活動しているのだが、なぜその職業を選んだのだろうか。
橋本さんは以前アパレル会社で働いていたが、人間関係や売り上げのノルマなどからストレスが原因で体調を崩し、退職を余儀なくされた苦い経験がある。
「退職後、たまたまアロマテラピーに関する本を読んで、『芳香療法』の存在を知りました。それを自身に取り入れたところ、医師の処方薬とは違う効果が出たのです。これを是非仕事にしたいと思いました」
また、アロマテラピーの学校に通っているときに、占星術にも興味を覚えた。
「香りを調合するときやマッサージを行うとき、カウンセリングの1つとして占星術ができるようにと思い勉強したのですが、いまではアロマテラピーの仕事より、星占いの仕事の需要のほうが多くなってきました」
ところで、橋本さんは自身の運勢も占ったりするのか、訊いてみた。
「ホロスコープセラピーは生年月日、出生地、出生時間から星のメッセージを読む占星学です。ですから私自身も占うことはできます。このような事態になるということは予め予測はしていました。乳がんの告知をされた頃、『私の人生観が変わるような、生まれ変わるようなことが起こる』と占いに出ていました。そのことを友人に話すと、彼女は『がん告知された日を、セカンド・バースディと言うんだよ』と教えてくれました」
そして自身が乳がんになったことや、高田馬場にある「乳がんサバイバーのためのヨガ」に通っていて、そこでの乳がん体験者の話を聞くことで、いろいろと勉強になっているという。
「それまでも乳がんに罹った人を占っていましたが、そのときは回答するにも、遠慮しがちな自分がいました。しかし、自分が乳がんになったことで、同じ病気に罹った人に対するアドバイスが、一歩踏み込んでできるようになりました。乳がんになる前は恐る恐る伝えていたことも、今は『私も乳がん経験者なんです』と伝えると、相談者も心を開いてくれます。私に対する見方も変わってきて、本気で踏み込んだ回答ができるようになりました。それと絶対ではないのですが、乳がんになりやすい星回りの人もいると感じています。そういう人には『絶対に乳がん検診に行ってくださいね』と言えるようになりました」
そして、乳がん検診の重要性についてこう結んだ。
「妹には本当に感謝しています。私の友人にも検診に行っていない人がけっこういるんです。自分は大丈夫と思っている人が多いんだな、と改めて思いました。ですから彼女たちに自分の体験を交えて、乳がん検診の大切さを��えています。私がアドバイスをして乳がんが発見された人も何人かおられて、彼女たちから『検査を勧めてくれてありがとう。 感謝しています』という言葉をいただくこともあります」
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