がんに負けない強い意志を持ってまずは、「がん」という敵を知る!
がんを克服しようという強い意志を持つこと
ひと昔前、がんであることを患者本人に告知するべきか否か論議されたと記憶していますが、冒頭で述べたように、いま医師は、実にあっけらかんとがんであることを本人に告げます。それだけ、がんが身近な病気になったからでしょう。
がんは、いまや2人に1人がかかる病気だそうですし、新しいがん患者は毎週1万人ずつのペースで増えつづけているそうです。そのためというか、それだからこそというか、世界中の研究者が、がんという〝人類の敵〟を克服するため日夜競い合うように研究をしています。その進歩はすさまじく、高度な手術技術や最先端技術の粋を集めた放射線治療機器、遺伝子工学による新しい抗がん剤が次々と開発されています。がんが「不治の病」とされたのはひと昔前のこと、いまではがん患者の約5割は治り、ある種のがんでは8割以上助かるそうです。
そんなわけですから、患者はがんにへこたれず、がんを治すのだという強い意志をまず持たなければなりません。「病は気から」というように、がんを退治する気持ちを持ち、生き続けるのだと自らを励ますことが大事なのでしょう。
がんを克服するため次に大事なことは、医師と良好な信頼関係を築くことです。現代のがん治療は、研究が進んだ分、多岐にわたるようになっています。そのため、患者は医師がどのような治療をしようとしているのかを知り、それについて信頼して委ねるようにしなければなりません。これは、ただ医師の言うことを黙って聞くことではありません。患者も医師の治療方針について何をしようとしているのか理解しなければなりません。医師の説明に対して自分で納得するまで質問できる程度の知識を持ち、理解しようと努力する必要があるのです。がんを治すためには、患者自身ががんについて知り、最新の治療情報を集めることが大事でしょう。
がんは「遺伝子の変異」が重なって暴走をはじめる
では、がんという病気はどういうものでしょうか。
わたしたちの体は60兆個という細胞から成り立ち、その細胞の核の中にDNAがあり、そこに遺伝子情報が書かれています。この遺伝子が老化など何らかの原因で傷つき、長い時間をかけてその遺伝子の変異が重なって制御がきかなくなり、異常増殖し続けるのが、がんという病気です。
「遺伝子の変異」という言葉から、遺伝する病気と思いこまれる傾向がありますが、基本的にがんは遺伝する病気ではありません。〝基本的に〟というのは、乳がんや卵巣がん、大腸がんの一部などには遺伝するものもあるからです。とはいえ、それはごく限られたがんです。ほとんどの場合、生まれてから何10年もの間に、さまざまな要因が積み重なり、遺伝子が傷つくことによって起こる後天的な病気なのです。
がんの特徴の1つ「浸潤」と「転移」
がんが他の病気と違う特徴として、S医科大学病院の医師は検査結果について説明してくれたとき、「浸潤」と「転移」をあげました。
がん細胞が勝手に増殖をくり返し、細胞と細胞の間を溶かしてもぐり込んで周囲の隣接した臓器にしみ出すように広がることを「浸潤」といいます。がん細胞が血液やリンパ液にのって、体中に移動してがんが起こった臓器(これを原発巣といいます)とは別のところに居座って増殖をするのが「転移」です。この2つが、がんという病気の厄介なところで、根治するのが難しい理由だそうです。わたしの下咽頭がんは浸潤して他の臓器にまで及んでいなかったものの、がん細胞はリンパ液にのって転移をしてリンパ節で増殖をしていたのでしょう。
後で調べて知ったことですが、がん細胞の恐ろしさはこうした自律増殖と浸潤、転移と同時に、食欲が旺盛で正常な細胞に供給される栄養を悪性の分泌物を出して横取りして吸収、それによって増殖をしていくことだそうです。早期発見、早期治療の大切さは、このためです。
ものの本によれば、胃がんの場合、直径1センチになるまでに約9年間かかるのに、1センチ立方のがん細胞が増殖をくり返して10センチ立方の大きさになるまでは、わずか2年半だといいます。
このようながん細胞の特徴を逆手にとって、新しい抗がん剤が開発されています。分子標的薬という、これまでとは違ったコンセプトで考え出された新薬で、正常な細胞は傷つけずに、がん細胞のみをピンポイントに狙った薬だそうです。
こ うした知識が、精神的にも肉体的にもがんを克服するために欠かせません。だからこそ、自ら積極的に情報を得ることが必要です。そして、そのための有効な手 段の1つとしてあげられるのが、セカンドオピニオンです。これはどうやって受けたらよいのでしょうか。仮に、セカンドオピニオンで説明を受けた医師に治療 をしてもらいたい場合は、どうすればよいか、次回詳しくご報告します。
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