情報収集し、疑問点をメモしてから受けよう知らないと損する!! セカンドオピニオンの上手な受け方

監修●幡多政治 横浜市立大学大学院医学研究科放射線医学准教授
文●川本敏郎
イラスト●佐藤竹右衛門
発行:2010年2月
更新:2013年7月

説明してくれた医師に治療を受けたい場合は?

ウェブサイトでセカンドオピニオンについて調べてみると、上手にセカンドオピニオンを受けるためには、「疑問点は主治医に聞いてから」という1項がありました。セカンドオピニオンは限られた時間の中で質問しなければならないのですから、佐々木さんのアドバイスのように、疑問点は検査をしてくれた病院の担当医にぶつけて解消しておくべきなのでしょう。

しかし、はじめて検査を受けた担当医とは短時間しか接していないケースがほとんどです。その担当医が若くて頼りなさそうだったり、ぶっきらぼうで相性が合いそうもなかった場合はどうすればいいでしょうか。わたしの場合も、検査入院をした病院の担当医は、外来で診察してくれ、検査結果を説明してくれた医師です。治療をはじめていませんので、3回ぐらいしか顔を合わせていません。説明は丁寧でしたが、疑いは解消されず、化学療法で使う抗がん剤についても説明がありませんでした。これについては佐々木さんも説明不足と指摘されています。ですから、その担当医に対して、主治医へ寄せるほどの信頼関係は築けられません。そのため、疑問をぶつけることに躊躇した面もあったように思います。

都立駒込病院のセカンドオピニオン外来では、1時間ぐらいかけて説明してくれるそうです。そのように懇切丁寧に治療法などを説明してもらったら、セカンドオピニオンの担当医に治療をしてもらいたいと思うのは人情でしょう。都立駒込病院では、ホームページには「セカンドオピニオンは当院への転院や診療につながるものではありません」と書いてありますが、お願いしますといった場合は、状況を判断し、場合によっては受け入れてくれるそうです。

診療情報提供書からでは、しっかり診断・治療がされていても、それでも前の病院での治療が不安な場合は、その後の途中経過についても再度相談に応じてくれるそうです。セカンドオピニオンで来られた患者さんが、1年以内に、再度「この経過で良いのだろうか?」と訪ねて来られるケースもあるそうです。

セカンドオピニオンもキャンサーボードで

セカンドオピニオンで患者が迷って、さらに他の医師の見解を聞いてみたいと〝ドクターショッピング〟を重ねるケースは、最初の担当医とセカンドオピニオンの医師が治療法について異なる場合が多いそうです。例えば、最初の担当医は手術がベストだといったの対し、セカンドオピ��オンでは化学療法で同じぐらいの治癒率を上げられるといわれたような場合です。患者としては、当然どちらを選んだらいいか迷います。

こうした意見の違いは、がんの治療法が日進月歩で1人の医師の知識ではカバーできないために生じることが多いようです。

都立駒込病院は、がん治療に「キャンサーボード」を取り入れています。これは、外科、内科、化学療法科、放射線科、病理科など各領域の医師が最新の知識を持ち寄って一堂に会し、1人のがん患者の治療法を検討するシステムです。

都立駒込病院では、セカンドオピニオンでも、なかにはキャンサーボードにかけるケースもあるそうです。佐々木さんはこう教えてくれました。

「患者さんのご相談の内容によっては、複数科に渡ることもあります。そうした場合、キャンサーボードにかけるため1回のセカンドオピニオンで終了しないこともあります」

最先端の専門知識を持ち寄って議論してくれるのであれば、意見の食い違いは解消され、治療法に対して患者が迷うこともないので、よいシステムです。

セカンドオピニオンの値段は?

そこで気になるのは、セカンドオピニオンのお値段です。30分で1~2万円程度という病院が多いようですが、キャンサーボードをする都立駒込病院は驚くほど安いのです。わたしは都立駒込病院の宣伝マンではありませんが、本人の場合は保険がきく(家族の場合は自費で1万円から1万2千円)というからありがたい話です。ちなみに、わたしがセカンドオピニオンをすすめられた候補の1つ、癌研有明病院は30分で3万1500円と本に書かれていますから、ばかにならない値段です。

では、わたしのセカンドオピニオンはどこでやったのかというと、夜の酒場で受けるはめになったのですが、これについては次回に詳しく書きましょう。

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