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免疫チェックポイント阻害薬の副作用対策 早期発見・早期対応のために必要なチーム医療
医療スタッフの教育も推進
患者側に正しい知識が求められる以上に、医療従事者側の教育が必要だ。山田さんは「看護師間でも免疫治療自体に知識の差があります。患者さんが副作用による下痢などで緊急入院してきたときに対応の差が出るとともに、患者さんの誤った知識を指摘できないと、またその症状がぶり返し、重症化して入院ということもありえます」と深刻な課題であることを指摘した。
そのため、山田さんや甲斐さんらは治療法に対する医療スタッフの知識を均てん化しようと、クリニカルパスを作成し、患者さんがセルフマネジメントを行うための指導の仕方を統一する方向とした。取り組みの4本の柱は、
1)スタッフの知識獲得のため、免疫チェックポイント阻害薬の管理に関する勉強会の開催
2)患者さんに必ず治療日誌(図3)を渡し、セルフマネジメントが出来るように看護師と記入方法を確認することをクリニカルパスに組み込む

3)自宅での注意点をまとめたパンフレットを渡し、重症化しやすい大腸炎や間質性肺炎の徴候がある場合は電話連絡や受診をするように指導する
4)外来看護師が治療日誌を確認し、患者と面談をする時間を設ける。外来治療への円滑な移行が図れるよう病棟と調整する
これらの取り組みの結果、「看護師が治療日誌の確認を行うことの必要性を理解し,患者さんと共に記入するようになった」という。
地域の開業医への勉強会も
がんセンターなどの拠点病院では、知識の格差が生じがちな地域のかかりつけ医への教育も大きな仕事となる。山田さんの神奈川県立がんセンターでは、かかりつけ医との勉強会を毎月催している。山田さんは『毎回出席できる医師ばかりではないので、免疫チェックポイント阻害薬の効果は「このような形で出て」、副作用が「こんな多彩な形、予期せぬ時期に出現する」ということを知ってもらうために、繰り返しいろんな勉強会をしています』と地道な活動を繰り返していると話した。
最後に山田さんは患者の��作用対策のサポートについて「早期発見すれば早期対応できるということをよく理解してもらうことが第一。不安が強いのはいけないことではなく、それだけ自分の体について気にしているということです。そこをどう持ち上げながら不安を和らげてセルフマネジメントにつなげていくかということが大切です」と話した。
*オプジーボ=一般名ニボルマブ *キイトルーダ=一般名ペムブロリズマブ *ロペミン=一般名ロペラミド
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