ロンサーフ(一般名:トリフルリジン・チピラシル配合錠)進行大腸がんの新薬が登場
知っておきたい!副作用と対策
◎血液毒性に気をつける
第Ⅱ相試験の結果では、好中球減少50.4%、白血球減少28.3%、貧血16.8%、リンパ球減少9.7%などが報告されています。
これら、血液毒性の副作用は投与3週目ごろにとくに多く現れます。重篤化すると休薬や治療法の見直しを余儀なくされるため、毎週血液検査を行い、検査値を確認することが大切です。

このほか、下痢や悪心・嘔吐、食欲減退なども報告されていますが(図5)、おおむね軽めのものが多かったとのことです。
ロンサーフは、抗がん薬の中では比較的安全な薬だと考えられています。ただし、まだ実際に使われた症例数が少ないため、発売後多くの患者さんに使われたときに、これまで知られていなかった副作用が発現する可能性もあります。
とくに最初は慎重に使い、患者さんも注意すべき徴候を聞いておいて、身体に変化があったときは、速やかに医師に伝えることが重要です。
今後はどのような治療法に使われるか

日本国内で行われた第Ⅱ相試験に続き、5月12日、進行・再発の結腸・直腸がん患者さんを対象とした国際的な臨床第Ⅲ相試験の結果が発表されました。
「RECOURSE」と呼ばれるこの試験は、日本のほか、北米、欧州、オーストラリアの800人の患者さんを対象に行われました。その結果、主要評価項目である全生存期間を有意に延長しました。また、報告された副作用も過去の試験と同様であったことが明らかにされています。
国際的な臨床試験で良い結果が出たことで、ロンサーフは海外でも使われていくことになると予想されます。より多くの患者さんに使用された経験は、積み重ねられることで、さらなる進行大腸がん治療の発展に寄与することが期待されます。
また、現在は単剤での使用が原則ですが、たとえばロンサーフとイリノテカンを併用するなど、ほかの抗がん薬と組み合わせた臨床試験も始まっています。さらに、その患者さんにロンサーフが効くかどうかをあらかじめ知るための目印となるバイオマーカー探しもスタートしています。
ロンサーフは、現状のところ標準治療に無効な症例が適応ですが、それでも前述のように様々な可能性が模索されています。10年前は選択肢がほとんどなかった大腸がん治療において、治療薬の分野は��すます可能性を広げています。
例えば、現在FOLFOXの治療をしている人なら、図1を見てもわかる通り、FOLFIRI、イリノテカン+アービタックス、スチバーガと、長年の経験が積み重ねられた治療法が控えているのです。
このような情報をもとに患者さんには、主治医とご自分の治療法について話し合われ、どのような状況になったらどの薬を使うのか、ある程度のめどを立てておくことで、平穏で充実した治療につなげていただければと思います。
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