オプジーボ(一般名:ニボルマブ)メラノーマ治療で期待の新薬
知っておきたい!副作用と対策
細胞を直接攻撃する薬ではないため、従来の抗がん薬でよくある、吐き気や嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの副作用は少ないです。
ただし、重大な副作用として以下のものが報告されています。
◎間質性肺炎

肺にある、空気を取り込む肺胞が炎症を起こす病気です。痰のない乾いた咳(空咳)、息切れ、呼吸がしにくい(呼吸困難)、発熱に気づいたら、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡しましょう。
治療前には胸のX線検査を行い、肺の状態を確認します。また治療中は定期的に血液検査をして、間質性肺炎のマーカーであるSPDまたはKL6を調べることで、早期発見につなげます(表4)。
◎肝機能障害
血液検査で肝機能の状態を調べることができます。治療中は、定期的に血液検査を行います。
◎甲状腺機能低下症
新陳代謝を活発にする、甲状腺ホルモンの分泌が低下します。元気がない、疲れやすい、まぶたのむくみ、寒がり、いつも眠いなどの症状が現れます。治療ごとに血液検査で甲状腺ホルモンの量を計測します。
◎インフュージョンリアクション
オプジーボの投与中、または投与後24時間以内に発熱、悪寒、ふるえ、かゆみ、皮膚が赤くなる(発赤)、めまい、ふらつき、呼吸困難などが現れることがあります。こうした反応を「インフュージョンリアクション(輸注反応)」と呼びます。
これらの症状が起こったら、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡します。
◎オプジーボの治療を受けられない患者さん
関節リウマチ(RA)、*全身性エリテマトーデス(SLE)、橋本病をはじめとする甲状腺機能異常症などの自己免疫疾患をもつ患者さんでは、オプジーボによる治療ができないことがあります。
オプジーボにより免疫機能が高まることによって、過度の免疫反応が起こる可能性があるからです。
◎オプジーボでの治療を受けるには
オプジーボは、日本で初めて発売されてまだ日が浅く、多くの人に使った経験が少ないだけに、予期せぬ副作用が発現することもあます。慎重に使用していく必要があります。
そのため、現在オプジーボの使用は限られた施設のみで行われています。
具体的には、日本皮膚科学会の定める皮膚悪性腫瘍指導専門医や、日本臨床腫瘍学会のがん薬物治療専門医が在籍しており、かつ緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験をもつ医師のもとで投与することとされています。
オプジーボの使用できる病院を探すには、「地域名」+「皮膚悪性腫瘍指導専門医」で検索をかけ、リストアップされた病院に電話をかけて治療の可否を問い合わせるとよいでしょう。
*全身性エリテマトーデス=SLE。全身の臓器に炎症が起こる原因不明の自己免疫疾患
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