B細胞性リンパ腫の治療薬 R-CHOP療法(リツキサン+エンドキサン+アドリアシン+オンコビン+プレドニン)/VR-CAP療法(ベルケイド+リツキサン+エンドキサン+アドリアシン+プレドニン)
どんな治療?❷――VR-CAP療法(マントル細胞リンパ腫)

マントル細胞リンパ腫の新治療
マントル細胞リンパ腫は、中悪性度のB細胞リンパ腫です。65歳以下で全身状態(PS)がよい人であれば、強い化学療法で効果が認められたあと、自家移植が行われます。自家移植の対象とならない人に対して、VR-CAP療法という新しい治療法が開発されました。
VR-CAP療法は、*ベルケイド、リツキサン、エンドキサン、アドリアシン、プレドニンの併用療法。R-CHOP療法のオンコビンを、ベルケイドに置き換えてあります。ベルケイドは、多発性骨髄腫の治療に使われてきた薬です。
自家移植の対象とならないマントル細胞リンパ腫の患者さんを対象に、R-CHOP療法とVR-CAP療法の無作為化比較試験が行われました(図3)。その結果、無増悪生存期間(PFS:悪化するまでの期間)は、R-CHOP群が14.4カ月、VR-CAP群が24.7カ月と大きな差がついたのです。
このような結果が出たことにより、ベルケイドの適応症は、2015年6月に、マントル細胞リンパ腫の治療でも使用できるように拡大されました。
*ベルケイド=一般名ボルテゾミブ
VR-CAP療法の投与法
VR-CAP療法は、3週間を1コースとして投与されます。リツキサン、アドリアシン、エンドキサン、プレドニンはR-CHOP療法と同じ。ベルケイドは、1日目、4日目、8日目、11日目に投与します(図4)。

VR-CAP療法の副作用

VR-CAP療法で現れる特徴的な副作用は血小板減少(症)です。72%の人に現れるというデータが出ていて、輸���が必要になることもあります。これらの点に注意して使用することが大切です。
ベルケイドの適応となっている悪性リンパ腫は、現在はマントル細胞リンパ腫だけです。他のリンパ腫の治療にも利用できないか、研究が進められています。
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