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抗がん薬治療の患者さんや家族に対し、排泄物の取扱いを指導 ~指導に対するアンケート調査を実施~

監修●高橋真由美 国立がん研究センター東病院通院治療センター
取材・文●半沢裕子
発行:2014年7月
更新:2014年10月


注意が必要なのは 多くは抗がん薬投与後48時間

では、患者さんや家族としては、どのように曝露対策をすればいいのだろうか。高橋さんによれば、まず、抗がん薬治療中も「食事、入浴、運動などは通常通りに行っても構いません」とのこと。ただし、抗がん薬治療から48時間は、患者さんの体から出る排泄物、汗のついた衣服などの処理に注意が必要だ。

具体的には、

トイレ……家族と共用で問題なし。ただし、トイレを汚さないようにすることが大切。男性の小用も座って行うほうがよく、排泄後は蓋を閉めて2度流すといいそうだ。そして、もし汚れたら広げないよう、水拭きしたあとに掃除をする。

排泄物の取り扱い……人工肛門(ストーマ)のケアを家族が行う場合は、手袋を使うとよい。吐いた物を扱うときも同様。作業が終わったら、石けんで手を十分洗う。

洗濯物……通常は一緒で全く問題なし。ただし、吐物がついたもの、大量の汗を含んだ衣類やシーツなどは、他の洗濯物と別に洗濯するとよい。

自宅でインフューザーポンプの抜針をする場合……インフューザーポンプとはバルーン(風船)が縮む圧力を応用した小型・軽量の薬液微量持続注入ポンプで、大腸がんのFOLFOX療法、FOLFIRI療法などに使われる。この針を自宅で抜針するときも、手袋を使い、前後に必ず石けんで十分手を洗うこと。

高橋さんは言う。「あくまでもできる範囲でできることをやりましょう、ということです。例えば、インフューザーポンプの抜針をするとき、手袋をつけるとやりにくいのよね、という方は、素手でも仕方ありません。その代わり、前後によく手洗いをすることが大切です。

厳密に管理するあまり、家族と別々に過ごすようでは本末転倒です。今申し上げた注意を守っていただければ、あとは同じ部屋で過ごし、同じお風呂に入って同じテーブルで食事をして全然問題ありません」

FOLFOX療法=フルオロウラシル(商品名5-FU)+ホリナートカルシウム(商品名レボホリナート)+オキサリプラチン(商品名エルプラット) FOLFIRI療法=フルオロウラシル(商品名5-FU)+ホリナートカルシウム(商品名レボホリナート)+イリノテカン塩酸塩(商品名イリノテカン)

現在主要3学会でガイドラインを作成中

曝露対策を行うことが当たり前になれば、逆に、患者さんも家族も一緒に過ごす時間を大切にすることができる。

ちなみに現在、医師、看護師、薬剤師のがんに関する主要な3つの学会で、曝露対策についてのガイドラインを作成中とのこと。公表時期は未定だが、これが公表されれば、各医療機関でより積極的な曝露対策が始まりそうだ。

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