EGFR変異、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんでの臨床試験結果が話題に
PROFILE1014 第Ⅲ相試験
進行ALK陽性非小細胞肺がんの1次治療薬である経口ALK阻害薬クリゾチニブと標準化学療法との効果の比較はまだ行われていない。本多施設無作為化オープンラベル第Ⅲ相試験(PROFILE1014)では、クリゾチニブ治療群とペメトレキセド+プラチナ製剤化学療法治療群においてその効果と安全性を比較した。報告者は、香港中国大学のTony Mok氏。
標準化学療法群との比較で 無増悪生存期間の有意な改善認める
2011年1月~2013年7月の間に、治療歴のない進行非扁平上皮ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者343例を、クリゾチニブ投与群(172例)とペメトレキセド+シスプラチンもしくは*カルボプラチン投与群(171例)に無作為に割り付けた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性、患者自己申告アウトカムとした。
1次治療でのクリゾチニブは、標準化学療法との比較で、無増悪生存期間および客観的奏効率において有意な改善を示すとともに(図3)、安全性プロファイルにおいても問題は認められなかった。これらの知見は、クリゾチニブが治療歴のない進行ALK陽性非扁平上皮非小細胞肺がん患者に対する標準治療としての位置づけを証明するものである。

*カルボプラチン=商品名パラプラチン
REVEL試験
*ramucirumab(RAM、ラムシルマブ)は、VEGFR-2の細胞外ドメインをターゲットとするヒトIgG1モノクローナル抗体である。REVEL試験は、ステージIVの非扁平上皮(NSQ)および扁平上皮(SQ)非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、プラチナ製剤をベースとした治療後のRAM+*ドセタキセル(DOC)投与 vs. プラセボ(PL)+DOC投与の2群間で効果と安全性を検討評価したものである。報告者は、フランスのリオン-ベラードがんセンターのMaurice Perol氏。
ステージIVの非扁平上皮および扁平上皮NSCLC患者を、RAM+DOC投与群、またはDOC+PL投与群に1:1の割合に無作為に割り付け、疾患増悪、非忍容性毒性発現、または死亡まで投与を行った。
主要評価項目は、全生存期間(OS)。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)とした。
2010年12月~2013年2月の間に、患者1,253例(扁平上皮がん26.2%)が、RAM+DOC群628例、DOC群625例に無作為に割り付けられた。
ORR、PFS、OSに有意な改善効果
客観的奏効率はRAM+DOC群22.9%、DOC群13.6%(p<0.001)。無増悪生存期間中央値はRAM+DOC群4.5カ月、DOC群3.0カ月。全生存期間中央値はRAM+DOC群10.5カ月、DOC群9.1カ月(図4)であった。

RAM+DOC群では、組織学的に扁平上皮���非扁平上皮がんを含めた大半の患者グループにおいて、全生存期間がより延長していた。
RAM+DOC群で5%以上に認められたグレード3以上の有害イベントは、好中球減少症(34.9% vs. 28.0%)、発熱性好中球減少症(15.9% vs. 10.0%)、 疲労(11.3% vs. 8.1%)、白血球減少症(8.5% vs. 7.6%)、高血圧(5.4% vs. 1.9%)、肺炎(5.1% vs. 5.8%)であった。グレード5の有害イベントは両群間で同等であった(5.4% vs. 5.8%)。
REVEL試験では、ステージIV非小細胞肺がん患者でのプラチナ製剤ベース治療後の2次治療において、RAM+DOC投与群ではDOC投与群との比較で、客観的奏効率、無増悪生存期間、全生存期間の統計学的に有意な改善が示された。治療効果は非扁平上皮がんおよび扁平上皮がんとも同様にであった。想定外の有害イベントは認められなかった。
Leora Horn氏コメント:ドセタキセルを用いた化学療法にramucirumabを上乗せすることにより、非小細胞肺がん患者でのPFSおよびOSが改善された。
*ramucirumab(ラムシルマブ)※日本国内未承認 *ドセタキセル=商品名タキソテール
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