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がんになっても快適に暮らすヒント Vol.5 がん患者と家族・友人の第2の我が家「マギーズ東京」始動!
看護師や心理士によるゆっくりした相談が主体 医療的なアドバイスは基本的に行わない
山崎 マギーズ東京は、広い空と海と、その向こうに高層マンション群という、抜群のロケーションですが、環境もやはり重要な要素ですか。
秋山 ロケーションも環境もとても大きな要素です。「医療知識のある友人として対応する」相談支援のありようと、「環境がもつ力」の両方が欠かせません。建物も、木をふんだんに使い、温もりが感じられる空間になっています。
山崎 本当にくつろげる空間ですね。ところで医療的なアドバイスは行わないのですか?
秋山 来られた方の話したいことを聞く中で、明らかに医師の説明を誤解されていたり、例えば在宅医療が必要なときに、ご家族が支援情報を全く持っていないときなど、必要なことはアドバイスしますが、治療法や病院の選択についても、助言はしません。ご本人が自分で選択できるようにサポートするのです。
山崎 患者会や病院のがんサロンともまた役割が違うのですね。
秋山 患者会やサロンに参加される方の多くは、ある意味、一歩踏み出して行動できた方たちです。その手前の段階にいて、集まりの場へ行く勇気がない。または、患者会で活動していたけれど、自分だけ違う状況になりつつある中で疎外感をもつ方たちなど、特別な場がいるのです。
山崎 同じがんでも病気は個人的なこと。人に会いたくないとき、プライベートで相談できる場は必要ですね。それに、どんな状態の自分も、笑顔で迎えてくれ、絶対に否定されず受け入れてくれる安全な場所というのは、ありそうでない。安心して泣くこともできる。

相談にあたるのは、看護師や心理士さんですね。
秋山 はい。常駐の看護師が3人、ボランティアのがんの専門看護師や栄養士が交代で1~2人、心理士が1人で、いつも4~5人はいます。予約なしのゆっくりした相談が基本ですので、見学を希望される方には、あらかじめお電話をいただき、相談者が少ない時間、朝や夕方にお出でいただくようにしています。
山崎 開始からどれくらいの方が利用されていますか?
秋山 メディアでかなり取り上げていただいたので、初日はオープンの10時前からお待ちの方がたくさんもいらして、当初は毎日30~40人の方が絶え間なく訪れ、電話も鳴りやみませんでした。
2週間が過ぎたいまは少し落ち着い���きて、1日に20人くらい。電話対応を入れると30人くらいの方への対応をしています。その方が話したいことをお聴きするのに、1時間から2時間近くかかりますね。
日本のマギーズセンターの見本となる 質の高いケアを提供していくために

山崎 プロの医療者が常にいて、無料で相談を受けられる。マギーズ東京はクラウドファンディングで7,000万円の寄付金を集め建設されましたが、今後も人件費や運転資金がかかりますね。
秋山 資金の7割方は建築費で消えましたので、おっしゃるように、今後の資金のための寄付をこれからも募っていきます。
山崎 マギーズセンターを、地方でもつくりたいという要望も多いのではないでしょうか。
秋山 はい。多くのがん患者さんがこういう場を求めていることを肌で感じている方々が多く、自分たちの地域で開設するにはどうしたらいいかという相談をたくさん受けます。そのためのノウハウを今後伝えていくには、まず日本で最初のマギーズ東京が見本となるべく、質の高いケアを提供し運営していくことが求められています。
山崎 これからやることがまだたくさんありますね。ずっと応援していきたいと思います!!
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