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がんになっても快適に暮らすヒント Vol.6 「いのちの授業」でがん患者が子どもたちに伝えたいこと
覚悟を決めて「がん教育」に臨んでくださる方に
鹿児島のノウハウを活用していただきたい

山崎 こう聞くと、本当に責任重大です。がんの経験者で子どもも好きだからやってみたいと、気軽にホイホイと踏み込んではいけない世界だとわかります。
三好 学校の先生や外部講師の話は、よくも悪くも子どもたちにものすごく影響力があるんです。たった1回の授業でもしかしたら、すごく心を動かされて「生きていこう」と思うかもしれないし、逆に、「やっぱりわかってないじゃん、大人って。もういいよ」って絶望して、極端な話、死んじゃう子がいるかもしれないわけです。それくらいの怖さが授業にはあるとわかれば、妥協はできません。授業は基本的にメインとサブの2人体制で行っていますが、毎回、授業で気になったことをサブがメインに書いて渡すとことを徹底しています。他の人も、やるなら覚悟を決めてちゃんとやってほしい。
山崎 そのための教育としての、「がん患者カレッジ」の講座なんですね。カレッジは単発開催でしたが、鹿児島では、年に1度、「語り手講座」を開いているそうですね。
三好 はい。あくまでわたしたち鹿児島のバージョンですが、「いのちの授業」のノウハウを勉強したいという方のために開催しています。私たちが今、ものすごく恐れているのは、何も勉強しないまま「がん教育」をやっている人が増えていることなので。
今回、山崎さんが受けた2日間の講座は初級編で、それだけでできるものではないと思います。ただ、がん教育が日本で急速に定着していく中���、がん患者の外部講師の需要は確実に増えます。覚悟をもってやる気のある方には、頑張ってほしいので、私たちがもっているノウハウはすべてお伝えしたいと思っています。
がんと命の話をした元気なおばちゃんを
何かがあったときに思い出してもらえれば
山崎 授業の最後にある男子児童が、「自分が大人になって、もしがんになっても、頑張って生きていこうと思いました」と発言していたのが印象的でした。
そういえば、今回の授業でサブを務められた副理事長の野田真記子さんの息子さんは、第1回目の「いのちの授業」で三好さんの授業を受けたそうですね。そのあとに野田さんに乳がんが見つかったときに、「息子が『いのちの授業』を受けていたので、とても助かった」とおっしゃっていました。自分の治療のことで一杯いっぱいなときに、息子さんが動揺せず、「一緒に頑張ろう」と言ってくれたことが、すごく力になったと。それがきっかけで、現在は一緒に「いのちの授業」をやっておられる。
三好 授業を聞いてくれた子どもたちに何かあったとき、「確かあのおばちゃん、がんだって言ってたけど、なんか元気だったな」と、思い出してもらえたらいいんです(笑)。
●子どもにがんの話ができるがん患者さんの育成を

2016年12月に成立した「改正がん対策基本法」でも「がん教育の推進」が定められ、がん教育が本格的に実施されます。とくに医療者とがん患者、がん経験者といった外部講師を積極的に活用していくことが方針として決まりました。今後、がん教育が全国に広がっていくことは明らかで、体験を話すがん患者さんの需要が急速に増えていきます。しかし教育現場の中で、患者さんが子どもたちにふさわしい授業を行うことは、そう簡単なことではありません。
そこで全がん連では、「いのちの授業」という外部講師の実績と確かなノウハウをもつ「がんサポートかごしま」の協力を得て、患者団体や支援者を対象にした学びの場、「がん患者カレッジ」で、がん教育の人材育成のための講習会を開催しました。
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