「つばさ支援基金」が第6期助成開始 高額療養費制度では救えない患者さんを救うために
病気で仕事が減り、収入が少なくなったときに助けられた
林 正孝さん(仮名・53歳) 大阪府在住 独居 自営業
2006年6月、妹が胃がんになりました。私も自分の体のことが心配になって、病院へ検査に行ったのです。血液検査で、白血球の数値が高いと指摘され、すぐに総合病院の血液内科を紹介されました。骨髄穿刺により、慢性骨髄性白血病と判明しました。白血病と聞いてとても驚きましたが、医師の説明を受けて、現在は治る病気であることがわかりました。
グリベックによる治療を開始しました。3カ月処方をしてもらったりして、高額療養制度を有効に使い、何とか治療を続けてきました。
その後、経過は順調だったのですが、2007年2月に胸の強烈な痛みを訴えて病院へ行ったところ、今度は胸腺がんを発病していました。幸い手術で、全摘できました。術後、放射線治療などもあり、体力が低下して疲労感も激しいため、グリベックの服用量を4錠から3錠に減らしてもらいました。この間、入院等で6カ月ほど仕事を休みましたが、その影響で取引先からの仕事も減ってしまい経済的に大変でした。
ここ2~3年は遺伝子検査で5コピー前後(寛解値)を推移していましたが、今年4月の検査で29コピーに数値が上がってしまいました。5月末の結果次第では薬がタシグナ*あるいはスプリセル*に変更になるかもしれません。
「つばさ支援基金」のことはネット情報で知りました。仕事が減り、収入が厳しい折に利用し本当に感謝しています。
2012年4月よりお世話になってきましたが、今年の確定申告の結果、非課税対象となってしまい、今後は利用できないと思います。おまけに引っ越しをして自治体が変わってしまったため、高額療養費制度の支払いの上限が、80,100円に戻ってしまい、やり繰りが厳しくなりそうです。金銭的なことや自分の病気はもちろん心配なのですが、それよりもこの先、生活の基盤としてしっかり仕事ができるのかが気がかりです。
がん患者のための雇用や仕事に関するセイフティーネットがもっと充実することを望みます。私を含め、がん患者の皆さんが、仕事をしながら安心して治療に専念し、日常生活を送っていけるようになって欲しいです。
グリベックによる治療を開始しました。3カ月処方をしてもらったりして、高額療養制度を有効に使い、何とか治療を続けてきました。
その後、経過は順調だったのですが、2007年2月に胸の強烈な痛みを訴えて病院へ行ったところ、今度は胸腺がんを発病していました。幸い手術で、全摘できました。術後、放射線治療などもあり、体力が低下して疲労感も激しいため、グリベックの服用量を4錠から3錠に減らしてもらいました。この間、入院等で6カ月ほど仕事を休みましたが、その影響で取引先からの仕事も減ってしまい経済的に大変でした。
ここ2~3年は遺伝子検査で5コピー前後(寛解値)を推移していましたが、今年4月の検査で29コピーに数値が上がってしまいました。5月末の結果次第では薬がタシグナ*あるいはスプリセル*に変更になるかもしれません。
「つばさ支援基金」のことはネット情報で知りました。仕事が減り、収入が厳しい折に利用し本当に感謝しています。
2012年4月よりお世話になってきましたが、今年の確定申告の結果、非課税対象となってしまい、今後は利用できないと思います。おまけに引っ越しをして自治体が変わってしまったため、高額療養費制度の支払いの上限が、80,100円に戻ってしまい、やり繰りが厳しくなりそうです。金銭的なことや自分の病気はもちろん心配なのですが、それよりもこの先、生活の基盤としてしっかり仕事ができるのかが気がかりです。
がん患者のための雇用や仕事に関するセイフティーネットがもっと充実することを望みます。私を含め、がん患者の皆さんが、仕事をしながら安心して治療に専念し、日常生活を送っていけるようになって欲しいです。
*タシグナ=一般名ニロチニブ *スプリセル=一般名ダサチニブ
月収13万円、生活費と医療費で、つばさ支援基金を受けても苦しい
西本美奈子さん(仮名・53歳) 大阪府在住 独居 派遣勤務
41歳のとき、微熱が続いて体調が悪い日が続き、近所の病院を訪れたところ、超音波検査で脾臓が腫れていることが判明しました。血液検査、骨髄穿刺を行った結果、慢性骨髄性白血病であるとの告知を受け���した。地元の大学病院の血液内科で治療を受けることにしました。
当時、日本ではグリベックがまだ認可されていませんでしたので、インターフェロンでの治療が始まりました。治療は体力的にもつらかったのですが、1年ぐらい治療を続けました。また、記憶力が低下するなどの副作用が出て、仕事に支障が出てしまいました。その後、グリベック、タシグナ、スプリセルと、副作用の症状によって薬を変えてきました。
薬のおかげで病気はなんとか抑えることができ、日常生活を送れているのですが、仕事を替わったりして、収入が減ってしまい、経済的にかなり負担となり、生活が厳しい状況となりました。
そんな折、「つばさ支援基金」をインターネットで知り、適用条件に当てはまったため、2011年4月から利用させていただいています。とてもありがたい制度だと思っています。
現在は、今年の4月に派遣会社より紹介された新たな職場で事務職に就いています。今でもインターフェロンの副作用で記憶が曖昧になることがあるので不安なのですが、なんとか日々の仕事をこなせるようになりました。
派遣会社には病気のことを話していますが、雇用先には内緒にしています。現在月収13~14万円ぐらいで、家賃と生活費を考えると、高額療養費制度を利用してつばさ支援基金から支給していただく2万円を合わせても、いっぱいいっぱいの生活です。
高額療養費制度の支払い限度額は一般所得者で単身の人では、約100万円以上から約790万円まで同じ金額です。せめてもう少し年収ごとに細分化して、私のような低所得者層の限度額を引き下げていただけるとありがたいです。これからのことは不安でいっぱいですが、現在の仕事をなんとか定年まで続けていけるようにがんばろうと思っているところです。
当時、日本ではグリベックがまだ認可されていませんでしたので、インターフェロンでの治療が始まりました。治療は体力的にもつらかったのですが、1年ぐらい治療を続けました。また、記憶力が低下するなどの副作用が出て、仕事に支障が出てしまいました。その後、グリベック、タシグナ、スプリセルと、副作用の症状によって薬を変えてきました。
薬のおかげで病気はなんとか抑えることができ、日常生活を送れているのですが、仕事を替わったりして、収入が減ってしまい、経済的にかなり負担となり、生活が厳しい状況となりました。
そんな折、「つばさ支援基金」をインターネットで知り、適用条件に当てはまったため、2011年4月から利用させていただいています。とてもありがたい制度だと思っています。
現在は、今年の4月に派遣会社より紹介された新たな職場で事務職に就いています。今でもインターフェロンの副作用で記憶が曖昧になることがあるので不安なのですが、なんとか日々の仕事をこなせるようになりました。
派遣会社には病気のことを話していますが、雇用先には内緒にしています。現在月収13~14万円ぐらいで、家賃と生活費を考えると、高額療養費制度を利用してつばさ支援基金から支給していただく2万円を合わせても、いっぱいいっぱいの生活です。
高額療養費制度の支払い限度額は一般所得者で単身の人では、約100万円以上から約790万円まで同じ金額です。せめてもう少し年収ごとに細分化して、私のような低所得者層の限度額を引き下げていただけるとありがたいです。これからのことは不安でいっぱいですが、現在の仕事をなんとか定年まで続けていけるようにがんばろうと思っているところです。
「支援の輪が広がってほしい」
長瀬哲也さん ノバルティス ファーマ株式会社 オンコロジー事業部マーケットアクセス兼ペーシェントリレーションズ担当部長
弊社が「つばさ支援基金」に協力させていただこうと考えたのは、当時、経済的理由でグリベックの投与が続けられないという不幸なケースが相次いで報道されたことがきっかけでした。弊社は、慢性骨髄性白血病の治療に大きく貢献できるグリベックを、必要としている患者さんの手にお届けしたいと思ったのです。
製薬企業の多くは、途上国を中心に、経済的理由で治療を受けられない患者さんに薬剤を提供するなどの支援を行っており、弊社も各国の政府やNGO等と協働して幅広く支援を実施していました。
日本でも、経済的理由で生命に関わる治療を継続することが困難な患者さんに対して何か支援する方法はないかと考えていた矢先に「つばさ支援基金」が誕生したため、ご支援を決定しました。
「つばさ支援基金」は、第三者諮問委員会で客観的に審査するという透明性があり、1つの薬剤に限らず、経済的に困った方の治療継続を支援するという明確な目的がある基金だと考えています。
設立から3年を経た今も基金に対する寄付が限られており、患者さんの声に応えきれていない歯がゆさを感じていると聞いていますので、今後も基金に対する理解や支援の輪が広がっていくよう期待しています。
製薬企業の多くは、途上国を中心に、経済的理由で治療を受けられない患者さんに薬剤を提供するなどの支援を行っており、弊社も各国の政府やNGO等と協働して幅広く支援を実施していました。
日本でも、経済的理由で生命に関わる治療を継続することが困難な患者さんに対して何か支援する方法はないかと考えていた矢先に「つばさ支援基金」が誕生したため、ご支援を決定しました。
「つばさ支援基金」は、第三者諮問委員会で客観的に審査するという透明性があり、1つの薬剤に限らず、経済的に困った方の治療継続を支援するという明確な目的がある基金だと考えています。
設立から3年を経た今も基金に対する寄付が限られており、患者さんの声に応えきれていない歯がゆさを感じていると聞いていますので、今後も基金に対する理解や支援の輪が広がっていくよう期待しています。