副作用はこうして乗り切ろう!「抗がん薬治療中のしびれ」

監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
構成●菊池亜希子
発行:2015年7月
更新:2020年2月


血の巡りがカギ

低反発のストレスリリーサーを使って血の巡りをよくしましょう

しびれ緩和のためには、まず、温めてみてください。血行改善を促すことが、しびれにはよいようです。「ぬるめのお風呂にゆっくりつかって、出てすぐ寝たらよく眠れた」とか、低温やけどに注意は必要ですが、「足裏用使い捨てカイロがよかった」という声もよく聞きます。それに、マッサージとほどよい運動。末梢神経から心臓に向けて、優しくさすってゆく。お風呂の中で掌をゆっくりグーパーしてみるのもよいようです。
軟式テニスボールや低反発のストレスリリーサーを握るのも、いい運動になります。

ほかに、ビタミンB1、B6、B12などのビタミン剤や、牛車腎気丸ごしゃじんきがん芍薬甘草湯しゃくやくかんぞうとうといった漢方薬を試してみるのもお勧め。目的は、どれも血行改善です。ただ、しびれの中には、ピリピリした痛みを伴うものも。それには、リリカという鎮痛剤、ときにはガバペンという抗てんかん薬にも使われる神経性疼痛改善薬が使われることも。

けがに気をつけて

しびれが強くなることで、手先や足先の感覚が鈍くなります。普段は何でもなく避けられるコード類や段差にもつまずいて、転んでしまうこともあります。また、温感も鈍くなり、アイロンや煮立った鍋などにうっかり触れていても、気づかずにやけどしてしまったという方もいます。

このような転倒ややけどを予防するために、脱げやすいスリッパやサンダルは避け、滑りにくく踵まで覆われているしっかりとした外靴やルームシューズを履くことをお勧めします。また、コード類は束ねておく、家の階段に滑り止めをつけるなどの工夫をしてみてください。

大切なことを諦めないで!しびれとうまくつき合っていくことが大切!

しびれとはうまく付き合いながら、患者さん自身の生活や人生を大切にしてほしいと思います。ゴルフが好きなら続けてほしいし、旅行が楽しみなら治療後も行きましょう。そのためにも、しびれが軽微なうちに、私たち医療者に相談してみてください。悪化を食い止めるような方法を、一緒に考えていきたいと思います。

指先の感覚が鈍いからといって、オシャレな洋服を諦めないでください。ボタンをかけられないといって、マジックテープに変えなくてもいいのです。やや大きめの被りのシャツにベルトをして、オシャレを楽しんでいる方も。スマートフォンならメールもできます。包丁がだめならキッチン鋏をフル活用。スーパーにはカット野菜もたくさん並んでいます。調理器具の柄や筆記具も太いものにするだけで握りやすくなりますし、コップも取っ手つきのものにすると、格段に落としにくくなります。

ちょっとした工夫とアイデアで、気持ちよく過ごす方法を見つけましょう。

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