上手につきあって更年期を快適に! PART-1 | ページ 3
適度な運動で血液の循環を促し、マッサージやアロマでリラクゼーション

「ウォーキングや、呼吸法やヨガを取り入れたストレッチなどの軽い運動で体を動かすことも、血行促進、ストレス解消に役立ち、症状の緩和に効果的です」
運動を始めてから、不眠症状が解消した人もいます。筋肉が弱ると冷えなどの症状が出やすいので、運動と足湯や入浴を組み合わせ、筋力アップと血行促進の両方をはかるのもよいでしょう。
「冷え予防には、むやみに重ね着をするより、ブーツの上からロングスカートをはいたりして、空気の層をつくるとよいですね。私は、長時間の手術のときなど、足に圧をかけて血液を心臓に戻すポンプ的な働きをする、伸縮性の強いハイソックス(通販などで市販)をはいて、足がうっ血しないようにしています」
肌に触れてもらうエステやマッサージなども、村上さんおすすめの方法。
「人の手で触ってもらうのは、“手当て”というくらいで、痛みが和らぎ、癒し効果も高いものです。パートナーと触れ合う時間をつくるのも大切かもしれません。また、症状の多くは心理的なものが影響しているので、家族の温かいサポートがあるとだいぶラクになると思います。疲れている妻の代わりに、できる範囲で家事を分担するなど、夫や家族も協力してあげてください」


★1、2は座ったままでもできます


つらさの度合いによっては専門家に相談。産婦人科の賢いかかり方は――
「症状が改善しないときは、最寄りの産婦人科か、大学病院や総合病院の更年期外来で相談してみてください。こんなことで受診していいのかしら、と躊躇する方もいますが、つらさの度合いで決めればいいのです。元気に見えても本人は非常につらいこともあるし、つらさは本人にしかわからないのですから」
受診時には、生理の周期(28日型など)や最終月��日、閉経時期、今までにかかった病気、手術歴、アレルギーが出た薬などをメモして持参します。
「できれば、1~2カ月程度の基礎体温表があれば助かります。問診表の症状の欄に丸がたくさんついていると判断が難しいので、メインの症状に二重丸をつけていただくといいですね。他の病院や他科の薬も伝えてください」
産婦人科には内診がつきものです。村上さんは「患者さんが恥ずかしいと感じるのは当然でしょう。でも、私たちは仕事で診察をしているのですし、虫歯で歯医者さんに行ったら口を開けるのと同じことだと理解して、ご協力いただきたいと思います」とアドバイス。
受診した病院で、「更年期だから放っといていいよ」「ホルモン入れますか」といきなり結論を出されたら要注意。
「話を聞いて、きちんと検査して、いくつかの治療法の選択肢を示してくれるところがベスト。更年期外来、女性専門外来は、ネットなどで検索できます」
女性ドクターを希望される方が多いのですが、男性的な発想をする人もいるので、性別より相性を優先するほうが賢いそうです。
治療の中心はホルモン補充療法と漢方薬
産婦人科で更年期の症状だと診断された場合は、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬、自律神経調整薬などが使われます。
「ホルモン補充療法は、低下したエストロゲンを薬で補う方法です。原因をモトから断つことができるので、更年期のいろいろな症状がかなりすっきり消えて、高い効果を発揮します。ただ、最近、アメリカでの大規模臨床テストの結果、乳がんなどのリスクがやや高まると報告され、論議を呼びました。また、エストロゲン依存性のある子宮体がん、乳がん、卵巣がんの場合は、一般には禁忌とされています。私は、HRTが使えない場合や、患者さんが希望しないとき、また、症状によっては、漢方薬や自律神経調整薬などをようすを診ながら使っています。漢方薬が非常に効く方もいます」(村上さん)。
ホルモン補充療法と漢方薬、腟萎縮や性交痛など症状別の対処法、更年期と間違えやすい他の病気などについては、次号のPART2で詳しくご紹介する予定です。
(参考文献)
『産科と婦人科』2003年・8号(診断と治療社)
『日経メディカル』2003年10月号別冊付録(日本経済新聞社)
『ゆうゆう』12月号(主婦の友社)