「口内炎はがまんしろ」は時代遅れ。がんと闘うためにも必要 家庭でもできる元気印の口腔ケア&セルフケア | ページ 3
(5)ドライマウス(口渇)の症状には
- 粘膜を傷つけないよう、柔らかい歯ブラシで
- 照射と同時に口内炎予防のための薬剤を使用(ハチアズレによるうがいなど)
- 口腔保湿用洗口剤、保湿ジェルで湿潤を保つ
- 氷片で口腔内を冷却する
- 口腔清掃の継続
- 口内炎のチェック
[化学療法時にみられる口腔病変]
- 虫歯、歯周炎などの悪化
- 粘膜の発赤
- 口内炎 抗がん剤による口内炎 細菌、カンジダ、ウイルスによる口内炎
- 潰瘍
- ドライマウス
- 舌苔の増加
- 味覚異常
・抗がん剤や放射線治療中は、口が渇くドライマウスになることがしばしばあります。このような場合は、ドライマウス専用の保湿剤で口を潤したり、洗口液でうがいをしたりするとよいでしょう。放射線によるドライマウスには唾液そのものの分泌を促す錠剤もあります。
・放射線の照射野が唾液腺にかかる場合、唾液の分泌量が減少し、食物をかんだり飲み込んだりするときに支障をきたします。このような症状の緩和には、唾液腺の働きを活発にする錠剤サラジェン(一般名塩酸ピロカルピン)、エボザック、サリグレン(一般名塩酸セビメリン)が役立ちます。放射線治療またはシェーグレン症候群によるドライマウスに認可されています。飲み始めにムカムカする人、汗をかきやすくなる人もいます。
・口の中を潤す保湿剤には、チューブ入りのジェルタイプ、リンス、リキッド(滴下タイプ)アルコール無添加で刺激の少ないマウスウォッシュなどいろいろなタイプが出ています。また、ドライマウス専用の歯磨きもあります。志村さんお薦めの製品(写真)はどれも適度な甘みがあり、味も美味しく患者さんにも喜ばれています。
「ジェルタイプの保湿剤は、舌の上に適量をのせて舌で口の中に広げるといいですね」
在宅治療をしていたある患者さんは、口の中が痛くなったため訪問の歯科医に入れ歯調整をしてもらったところ、さらに痛みが増して食事がとれなくなりました。志村さんが診察するととくに入れ歯の不適合はないものの、ドライマウスと口腔カンジダ症の感染がみられたため、抗真菌薬を使いながら、入れ歯の内側に保湿ジェル(オーラルバランス)をたっぷり塗ってはめ直し、しっかりとかんでもらったところ痛みがなくなり、トラブルはすっきり解決したそうです。
「痛みの原因が入れ歯の問題なのか、今回のような感染なのか、原因をはっきりさせることが重要です。フィット感には唾液が関係します。ドライマウスで唾液が減って入れ歯が合わなくなっているときは、保湿ジェルで隙間を埋めるだけでよい場合も多いのです」
このアイデアは、がん治療中の患者さんばかりでなく、ご家族や高齢者の介護などいろいろな場面で役立ちそうです。
なお、志村さんのデンタルクリニックでは、抗がん剤治療中の口内炎、ドライマウスについての相談を受け付けています。

保湿ジェルなど

さまざまな保湿剤
連絡先
●NTT東関東病院 歯科口腔外科
東京都品川区東五反田5-9-22 電話 03-3448-6371
●志村デンタルクリニック
東京都港区西新橋1-19-6 梗備前ビル3F 電話 03-3580-6480
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