ストーマ・ケアのコツをおさえて、元気に、快適に!

監修・アドバイス:青木和惠さん 静岡県立静岡がんセンター副看護部長
文:池内加寿子
発行:2005年4月
更新:2013年8月

Q&A 青木和惠さんのアドバイス

Q ストーマ装具はどの程度の間隔で交換すればよいですか?

A 1日1~3回程度便を捨てながら、中を洗わずに使い、2、3日に1回入浴時などに新品と交換するのが一般的です。装具は完全防水ですから、装着したまま入浴してもOKです。
3日も続けて使うのは気持ちが悪いという方は、短期交換装具を使用して下着感覚で毎日交換してもかまいません。
面板の粘着剤がはがれにくいときは、専用のリムーバー(剥離剤)を使うと皮膚を傷めず、きれいにはがすことができます。粘着剤を肌に残したまま、新しい装具を貼るとはがれやもれの原因になりますから、よく落としてから交換してください。
ストーマや周りの皮膚は、入浴時などにシャワーや石けんで洗い、自然乾燥させます。

Q 便を捨てるタイミングは?

A 重くなるとストーマや皮膚に無理がかかるので、袋に3分の1くらいたまったときが捨て時です。袋の下部のマジックテープやクリップをはずし、口を開いて中身を便器に捨てます。あらかじめ装具の内部にお尻用洗浄剤(サニーナ)を2、3回スプレーしておくと、スムースに便を捨てることができます。水様便の場合は、凝固剤を入れておくと固まります。
便を処理するときは両手がふさがれ、無理な姿勢をとらなければならないことが多いので、衣類を汚さないように、洗濯バサミやクリップなどでとめておくとよいでしょう。また、便をふく濡れティッシュなどを近くに用意しておくのも忘れずに。
使用済みの装具は、便を捨ててから、新聞紙やポリ袋などで包み、燃えないゴミなど、自治体の規定に従って捨てましょう。

Q 便のもれが心配です。

写真:ストーマ装具

A 便が漏れる原因は、(1) 皮膚にシワがあって面板が密着していない (2) ツーピースタイプの面板と袋がしっかり接合していない (3) 皮膚保護材が溶け出しているなどが考えられます。
(1)の場合は、皮膚をしっかり伸ばして粘着させる、面板が凸型のハードなものに替える、チューブやシートタイプの粘土のような皮膚保護材をシワに埋め込むなどの方法をためしてみてください。ストーマが陥没またはいびつな形で便がもれるときも、皮膚保護材で調節するとよいでしょう。
(2)の場合、面板と袋の接合部が密閉容器タイプのものや、丸いリングでとめるロック式(右の写真参照)などがありますが、いずれも注意深くしっかりととめつけます。高齢で手の力がないような方は、ワンピースタイプに替えるとよいでしょう。
(3)の場合、皮膚保護材は、便の水分を吸収するとふくらみ、だんだん溶けてきます。ストーマの周りの皮膚保護材が5~10ミリ程度溶けてきたら、便がもれる原因になりますから、ストーマ装具を交換してください。

Q ガス抜きフィルターが目詰まりし、袋がパンパンになり��す。

A ストーマ装具の上部にガス抜きフィルターがついているものがあります。これはガスだけ抜くことができて便利な一方で、フィルターが便のカスで目詰まりしたり、ガスとともににおいがもれたりします。目詰まりしたら装具を交換してください。においが気になる方はフィルターのないものを使いましょう。

Q 皮膚がかぶれて困ります。

A かぶれの原因が、便なのか、テープなのか、皮膚保護材なのかを見極めます。便のもれなら前述のように皮膚保護材などでシワや溝を埋めてもれを防ぎます。テープや皮膚保護材が原因なら、装具のメーカーや種類を替えることで解決します。皮膚保護材の成分や配合は、化粧品と同様に千差万別。自分の皮膚に合う商品が必ずあるはずですから、ETナースなどの専門家に相談してください。

Q 面板の穴はストーマぴったりにあければよいですか?

A 面板についている皮膚保護材は、便の水分を吸収するとふくらむので、ストーマより1~2ミリ大き目に穴をあけ、ストーマの周囲に1ミリ程度の余裕を残して貼るのがコツ。家族の方に手伝ってもらい、水平の視線で見てもらいながら貼れればベストです。

Q 外出時は、ストーマ装具の替えを持参したほうがよい?

A 外出先では、不意の地震など何が起こるかわかりません。交換用のストーマ装具を持って出かけましょう。
最近では、高さの調節できるオストメイト用トイレ、身障者用のトイレがある駅も増えてきました。トイレの場所も確認しておくとあわてずにすみます。

Q 夏は汗でむれて気持ちが悪く、スポーツをするとき、はずれないか不安です。

A ガーゼなど汗を吸収するやわらかな素材でストーマを包む袋をつくってかぶせたり、スカートの内側に脱着できるポケットをつけて、ホルダー代わりにすると便利です。装具を固定する専用のベルトもあります。
ストーマがズボンのベルト位置に来る場合、サスペンダーなどを使うのも一案です。

Q 洗腸をしたいのですが……。

A 洗腸は、お湯を入れて強制的に腸にたまっている便を出してしまう方法で、道具の片付けまで含めて1時間ほどで終わります。慣れてくると、入浴、パソコン、編み物などをしながら洗腸する人も。洗腸すると約24時間は排便がないので、毎日洗腸して、装具を使わずに暮らしている人もいます。
回腸ストーマの方、体力がない方など、洗腸ができない方もいます。

イラスト

Q 飛行機や海外旅行は?

A 大丈夫。上空では気圧の関係で袋がふくらむことがありますから、便を捨ててから搭乗しましょう。

Q ストーマの色が薄いピンクから濃い赤紫に変わってきました。異常でしょうか?

A 正常なストーマの色は濃い赤、牛肉のような色です。手術後、貧血になるとピンクになるので、貧血が改善したと考えられます。ただし、黒い色なら壊死しているので、医師に相談してください。

Q ストーマに赤いにきびのようなものができています。

A ストーマはもともと体内の粘膜なので、摩擦に弱く、ぶつぶつができることがあります。がんの再発や新しいポリープができている可能性もありますから、医師に相談してください。

Q 閉じた肛門が痛いのですが。

A 元の肛門を縫合したあとは違和感や痛みを訴える方が多いようです。ただ、再発なども考えられるので、術後1、2年は3カ月に1度、それ以降は医師の指導にしたがって受診されることをおすすめします。

Q 家族や友人につらさを理解してもらえず、身近に相談できる人もいません。

A 芸能人やスポーツ選手でも活躍している人がたくさんいます。大きな病院には大体ストーマ外来が開設されているので、ETナース、WOCナースなど専門看護師に相談したり、患者会で悩みを話したりしてみましょう。
解決策が見つかることも多く、また、悩んでいるのは自分だけではないことを知るだけでも、力になるものです。

相談先

静岡県立静岡がんセンター「よろず相談」または「WOCケア外来」(県外の方でも可)
TEL 055-989-5710 よろず相談

患者会「ブーケ」(若い女性オストメイトの会)
TEL&FAX 07933-6-1754
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