安心して家で療養するために在宅、緩和ケア体制の充実を
在宅緩和ケアの受け入れ先の情報も

「がんの終末期では早い時期から痛みが出てきます。さらに亡くなる前1カ月くらいは、食欲不振や倦怠感、不眠、腹水がたまったり、呼吸困難が起こってくるなど、全身的にさまざまな症状が出てきます。緊急の医療的な処置が必要なため、患者さんご家族は、そのような症状に対処をしてくれる在宅医の情報を求めています」
こう田村さんは指摘します。
在宅患者さんの緩和ケアまできちんと対応してくれる医療機関はあまり多くありません。田村さんは続けます。
「医療機関には、強化型在宅療養支援診療所の認定を受けて、緩和ケアもしっかりやっているということを表明してほしい。また、行政は在宅緩和ケア支援体制の強化策として、各地域の『在宅緩和ケア連携医療機関マップ』を作成し、公表してほしいです」
田村さんがいうマップとは、拠点病院が緩和ケアのできる診療所を調べてリスト化したもの。実は、厚生労働省の2012年度緩和ケア推進事業のなかで、「在宅緩和ケア地域連携事業」としてすでに予算化されています。県によっては、緩和ケアを実施している医療機関をリストアップして、地域ごとにマップにしたものをすでに公表しています。連絡会では、このマップづくりに、兵庫県でも取り組んでもらうよう要求しています。
「患者は自宅で最期を迎えたいと思っても、家族に負担をかけたくないし、家族も自宅で看るのはムリと思いがちです。そういう空気のなかでこれからどうなるのか、患者も家族も真剣に考えなくてはいけないでしょう。県下のみなさんに理解を深めていただき、在宅緩和ケア支援体制の実現へ後押しをいただきたいです」
がん対策推進条例制定に向けて
連絡会ではさらに、「兵庫県がん対策推進条例」の制定を呼びかけています。がん対策条例は、2013年2月時点で24都道府県ですでに制定されており、がん対策予算の増額や、患者・家族支援施策の充実などの面で効果を発揮しています。
がん条例案の作成に携わる、連絡会理事の武内務さんは話します。
「条例案では、県議会、がん患者団体、行政、医療、報道、民間事業者が相互に連携し、『六位一体』となってがん対策を進めていくことを明記しました」
これらを達成するためには、がん対策を県民運動として展開する必要があるとしてさまざまな催しを行っています。
「さまざまな立場の人が積極的にかかわることで関係者の活動が活発化して、成果があがることが期待されます。1つの県の取り組みが、他県とのよりよい連携に結びつけばと思います」
同じカテゴリーの最新記事
- 患者さんが緩和ケア冊子を作成
- 患者目線のがん療養手帳を作りたい
- 病児のきょうだいが楽しめる空間を作りたい
- アロマの力をがん患者のQOLアップに役立てて!
- 「がんと共に働く」をライフワークに 〝働くがん患者〟になるための3つのポイントを提言
- 日本版「マギーズセンター」maggie’s tokyo マギーズ東京 来年度開設へ がん患者やサバイバー、支える人たちが自分の力を取り戻すことのできる空間を
- 正しい情報と新薬の承認、ガイドラインの更新を!
- がん治療中の不調対策に もっと漢方薬を使って
- ウィッグをつないで がん患者が前向きになれる社会に
- 突然発症し、1年足らずで亡くなる病気の支援体制を見直して欲しい!<