- ホーム >
- 患者・団体 >
- 患者会リレーインタビュー
どんぐりの会 会長/椚計子、副会長/中村哲也 がんになってもどんぐりの背比べというのがいいね。
こぢんまりと幸せにならず、必要な声を上げていく

俵 私、今日はぜひご意見を聞いて帰りたいことがあるんです。8月下旬の朝日新聞に、乳がんの女性の記事が載りました。胸にしこりがあるのに集団検診で2回も大丈夫と言われ、3回目に受けたときには余命半年と言われた女性です。せめて集団検診に専門外の医師を入れないでほしいと、あらゆるところで訴えておられましたね。
私は記事を読んでいて、「こういうとき、患者会がまとまって、一緒に訴えることができたらいいのに」と思ったんです。 みんなで意見書を作ってどこかへ提出するとか、医師の選び方などに関して患者会として共闘するとかね。がんの患者が患者会に参加して助けられるのはいいことだと思いますが、どうも自分たちだけでこぢんまりと幸せになっているんじゃないかと思うんですよ。あの方ひとりをあんなふうに駆けずり回らせ、知らん顔をしているようでは、患者会の値打ちがないと思うの。
椚 私たちもちょうど、「どんぐりの会」の中だけで癒しあうのではなく、みんなで手をつないだら違うこともできるんじゃないかって話していました。具体的な話も出ています。2000年に日米合同の富士登山を多くの患者会と一緒に実現しましたが、登山のあと、「せっかく親しくなったのにもったいない」と、実行委員会に参加した各患者会の代表で、連合体のようなものにしたいという意見がありました。俵さんがおっしゃるように、こういう問題が起きたとき、みんなで力を出しあうのが、本当の患者会だと思います。
中村 がん患者は体が動かないなど、いろいろ制約はありますが、できるところから始めていきたい。たとえば、俵さんがおやりになるというのなら、私たちもできる限りのことを一緒にやりたいと思います。
俵 ただ「どんぐりの会」も同じでしょうが、うちの会も400人の会員が北海道から沖縄までばらばらに住んでいる。運動として統一するには何カ月もかかります。ほかの会から協力要請があったときの対応も規約も、何もできていないんですよ。「どんぐりの会」は老舗ですから、そうしたノウハウができあがっているんじゃない?
椚 がん治療薬の早期承認を求める、大阪の三浦捷一先生のご活動には、署名運動で協力しました。その程度ですね。
俵 ああ、署名運動ならできるかもしれない。用紙をもらって、ファクスと郵便でばーっと送って、返事を回収するのね。
中村 もうひとつ、会の社会活動として、生きること病むこと死ぬことについて、学校の生徒さんに話をする場を作ろうと考えています。今の子どもたちはそういうことを考える時間をもらっていない。自分が死ぬことは他人事ですし、親や身内の死も目にしません。私たちはそういう部分に関わっていきたいと思っているんです。
でも、まだまだ考えている段階です。ウェブの世界でも健常者が中心で、私たち患者の声は十分に出ていませんし。
病室にパソコンを! 医師教育に改革を!
俵 ウェブがカバーできている人種って、限られているのよね。だいたい、病室にノートパソコンをもって入れないしね。
中村 私は入ります。ずうずうしいものですから、「これが命だ」と持ち込みます。
俵 でも、個室はともかく、大部屋ではできないでしょう。第一、食事道具を置くスペースもないのに、ノートパソコンどころじゃないわね。それでも、今度病んだら、私は大部屋に入りたいわ。
中村 私はパソコンで外部と連絡がとれるから、個室でよかった。椚さんも「中村さん、あれ考えておいて」なんて、入院患者に平気で言ってきますから(笑)。
俵 だから、病室もパソコンを打てる設計にしなきゃいけないわけですよ。
椚 病院建築に関しては、先日原稿を書いたんですよ。
中村 治療室もだめですね。うしろの人に診療内容が丸聞こえなんだもの。
俵 自分の生死の問題が人に聞かれてしまう。泣いているのまで聞こえるものねえ。
中村 医師の立場でしか考えていない。
俵 医師教育の問題だと思いますね。医師がどこまで患者の身になって考えられるか、という教育が全然ほどこされていない。乳がんになって1年くらいたったとき、複数の医師が死について書いた文章を読んだの。95パーセントの医師にとって、印象的だった死は肉親の死なのよ。患者の死じゃない。患者の死は単に職業上の死なの。
中村 私たちが学校教育の場で話したいと思うのは、そこなんです。家族の死を看取って、遺体を洗ったり拭いたりとか、そんなことを経験する生徒がいなくなりましたから。
俵 死は本当にカーテンに仕切られている。このテーマは大きすぎるから、もう1回話さないとね。こうやってお顔つなぎさせていただきましたから、一緒にできることがあったら、ご一緒にやりましょう。
椚 ぜひ声をかけてください。
どんぐりの会
〒191-0062
東京都日野市多摩平4-9-2-604(椚計子方)
Fax:042-584-9826
ホームページ
1・2の3で温泉に入る会
〒371-0101
群馬県勢多郡富士見村大字赤城山1789-64 俵萠子美術館内
電話:027-288-7000
Fax:027-288-8700
※俵萠子美術館には「1・2の3で温泉に入る会」の役員は常駐しておりません。伝言などを残していただければ、追ってこちらからご連絡させていただきます。
同じカテゴリーの最新記事
- ウィメンズ・キャンサー・サポート 代表/馬庭恭子 婦人科がん。その微妙な心のひだを分かち合う場として
- 日本骨髄腫患者の会 代表/堀之内みどり 最新の情報と会員の絆を武器に難病に立ち向かう
- NPO法人生と死を考える会 副理事長/杉本脩子 悲嘆の先に見えてくるもの
- 支えあう会「α」 代表/土橋律子、副代表/五十嵐昭子 がん体験から命を見つめ、自分らしく生きる
- NPO法人血液患者コミュニティ ももの木 副理事長/大橋晃太 入院患者の生活の場に人間的な温かみを
- 社団法人銀鈴会 会長/久永進 不可能を可能に持っていく努力
- リンパの会 代表/金井弘子 がん治療の後遺症「リンパ浮腫」を知る
- 内田絵子と女性の医療を考える会 代表/内田絵子 乳がんになって教えられたこと、出会ったこと 多くのことを人生の勲章に
- 財団法人財団法人がんの子供を守る会 会長/垣水孝一、ソーシャルワーカー/近藤博子 がんと闘う子供を育み、サポートする社会環境を目指して
- 社団法人日本オストミー協会 会長/稲垣豪三 内向きの活動ではなく外に向けて発信する患者会の活動を!!