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NPO法人・女性特有のがんのサポートグループ オレンジティ 理事長/河村裕美、運営スタッフ/工藤千賀子 強い患者でありたい、優しい関係を育てたい
性の問題としての視点

俵 河村さんはがんの手術後のセクシュアリティの問題にも積極的に発言なさっていて、オレンジティの若さを感じます。
河村 子宮頸がんでは、個人的な性体験が問題、とされる風潮があって、医師が患者に向かって平然と無神経で無責任な発言をする。私自身もつい最近そういう体験をして、その後はその医師にはかからなくなりました。
工藤 私は乳房温存術を希望していて、結局は全摘だったんですけれど、「お子さんも大きいし、もういいでしょう」と言われました。
今思えばショックを受けた私をなだめよう、という気持ちがあったのだと思いますが、医師には、患者はその言葉どおりに受け取れないこともある、ということを知ってほしいですね。
俵 悪意で言っているのではないけれど、許されるものではない、ということに、医者も気がつかなければならないわね。
河村 前回のミーティングは、ちょうどセクシュアリティについてがテーマでした。
私の手術は夫にとっても重大な事件だったのに、それでもそばにいてくれるパートナーとして、存在していてくれる。それが自分のがん体験をセクシュアリティの問題としてもカミングアウトできた、一番の理由だと思います。それに夫が冷静でいられたのは、術前に医師のレクチャーがあったことが大きかったと思います。
俵 人間の問題として、性についてはきわめてありふれた、自然なことだという視点が必要だと思います。
河村 以前にあるがん雑誌から、性の問題について夫と別々に取材を受けたことがあったんです。それで、実はつい最近までその雑誌を開くことができなかった。夫が本当はどう思っているのか、知ることが怖かったんです。でも思い切って夫の記事を読んでみたら、なんだ、別に普通のことしか言ってないじゃないって、拍子抜けしました。
語ることによって、どんどん自由になっていくことを実感できましたね。
心の底にあるものを認めたい
俵 あの向井亜紀さんの代理母出産については、どう思う?
河村 ただ、うらやましい、ですね。お金さえあれば、こんなこともできるんだ、という妬ましさ。実際にできる、できないという問題ではなく、そういう嫉妬が自分のなかにあることを認めたい。ただ、それを引きずることはありませんが。
工藤 私も温存した人や、美しく再建された乳房をみて、一瞬、炎のような嫉妬を覚えたことがあります。プリミティブな妬ましさ、というのは、人間の本能のようなものだと思う。
俵 向井さんの問題が是か非か、ということではなく、人間として当然のうらやましさでもあるのね。医療における倫理の問題は、結��はあとからついてくるもの、いわば社会がそれなりの時間をかけてつくるものでもあるわけですから。
河村 子どもは欲しいと思うこともあるし、いなくてもかまわない、と思うこともあるんです。でも向井さんのあのニュースを聞いたときには、おもわずテレビを消してしまいました。もう、話を聞くのもいやなのね。
養子をもらえば、っていわれたこともあるけれど、そういう問題ではない。そういう問題ではないのに、社会はそういう問題としか捉えていないんだろうな、という、納得できない思いです。
工藤 医療技術が現実にそこまで行っている、ということを、今議論しなければいけないところにきているのだ、ということですね。手を伸ばせば、手に入ってしまう技術があるのですから。
俵 あなたがたオレンジティのメンバーが、「うらやましい」と言えたことが、素晴らしいことなのだと思います。
1・2の3の会は全国組織の患者会ですが、これだけ情報が行きかう時代でも、やっぱり都会と、それから地方による意識格差は存在するのだ、と実感することがあります。
オレンジティのこれからの新しい患者会活動に、期待します。
NPO法人・女性特有のがんのサポートグループ オレンジティ
Fax:0557-85-5571
ホームページ
オレンジティは静岡県に住む、女性特有のがんの患者、その家族、支援者(医療従事者、カウンセラー等)のネットワークを目指しています。お互いの悩みや、体験などをわかちあいサポートしていきたいと思っています。
1・2の3で温泉に入る会
〒371-0101
群馬県勢多郡富士見村大字赤城山1789-64 俵萠子美術館内
電話:027-288-7000
Fax:027-288-8700
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