ウィメンズ・キャンサー・サポート 代表/馬庭恭子 婦人科がん。その微妙な心のひだを分かち合う場として

撮影:田浦薫
発行:2005年5月
更新:2014年4月


よりよい医療を求めて市議会議員に

馬庭 本音で話をしていると「やっぱり早期発見が大事だよね」、「子宮がんは検診体制が組めているけれど卵巣がんは検診体制が整っていない」、「せめて血液検査で分からないのかしら」とか、さまざまな意見が飛び交います。最近は若い方に子宮頸がんが多いし、卵巣がんでも若い方がなることがあるので、何とか予防活動をしたい。それにはどうしたらいいんだろうと考えた挙句、政治に訴えるしかないと。でも、一患者会が役所に話をもっていっても「前向きに検討します」という曖昧な一言で終わってしまう。だから議員になってそうした声に耳を傾け、実際に実行に移そうと思い至りました。

 その心意気に感心します。そうすると2003年に患者会を立ち上げて、その年にもう立候補されたわけですか?

馬庭 みんなは「絶対に当選しないからね」って言ってましたけど(笑)。私は医療者と患者という2つの側面を知っていますから、この体験は政治の世界にもいかせると思っています。例えば、“乳がんのマンモグラフィの機械を検診車に”と、ピンクリボンキャンペーンと連携して、患者会の方と一緒に市長と面談し、要望書をだしました。私も議会でその必要性を発言して、今年の予算でマンモグラフイーの搭載の検診車を1台買うことになりました。この他にも検診の年齢の問題や介護保険制度の問題など、私の体験が役立つ面は沢山あると思っています。

 男性議員だけの議論、あるいは経験者でないと分からないさまざまなことがありますね。そういう意味では、あなたの活動が今後の医療に一石を投じる結果になることを期待したいですね。

馬庭 そうありたいと頑張っています。患者会をやりつつ現場の声を反映させていきたい。私は医療者と患者、そして行政とのパイプ役を担うのが使命だと考えています。

 あなたが議員になられていろいろ活動されている、そしてこれからもやっていくことを思うと本当に心強く感じます。

がん医療の地域格差

ウィメンズ・キャンサー・サポート 代表 馬庭恭子

 患者会や議員の活動とは別に、訪問看護をなさっておられたわけですけれど、医師と患者の関係に地域格差があるとよく耳にします。その辺りをどう思われますか?

馬庭 東京は人口が多いし医者を選ぶにも選択肢がたくさんあります。例えばがんセンターがダメだったら癌研に行こうとか……。しかし地方ではどこに住むかで自分の命が決まってしまうということが、残念ながら少なからずあります。

 大きな病院の数が少ないですからそこに行くしかないわけですね。

馬庭 そうなんです。それに医療施設や医師��レベルがどうであるという情報を得ることも難しい。そういう意味で選択肢が限定されてしまいます。

患者会で電話相談や手紙で相談を受けているときにも、おやっと思うことが多々あるんです。よく話を聞いてみると、“もっと抗がん剤治療をきちんとやればどうか、もっと違う方法があるんじゃないか”と思うことがあります。そういう場合には、セカンドオピニオンを求めることを勧めるのですが……。ある人は「もう半年の命だと言われた」と泣いておられたんですが、セカンドオピニオンを求めて再手術をしたら、今は元気になっていたりするんですね。やっぱり情報の差かなと思います。

 今日本には確かに、地域による医療格差がありますね。

馬庭 格差は激しいですね。まだ広島は人口も多いですが、もっと病院の少ない地域だってありますから。もっと専門家をおいて欲しいだとか要望は出しているんですが、1、2年ですぐに実現するというようなものではありません。予算もいりますしね。情報を得ることは患者さんの予後にも大きく関係してきますから、そういう意味では患者会を活用して欲しいと思いますね。インターネットで情報を発信しているところも沢山あります。不安を感じたらぜひ相談してほしい。

 私は、患者本人が地域格差などを認識した上で、昔ながらの医者任せから脱出してほしいと思います。あなたのような強力な助っ人もいることですしね。患者さんのために頑張ってください。今日は元気の出るお話をありがとう。

対談を終えて-俵さんの感想-

この対談は、私の友人、田中久江さんが主催している「夢創庵」でやらせて頂いた。田中さんと馬庭さんも友人だ。お2人とも“火の玉”のように熱いものを持っている人だ。馬庭さん、女性のがんのため、一緒にがんばりましょうね。

ウィメンズ・キャンサー・サポート

〒738-0043
広島県広島市中区富士見町11-6 エソール広島内
電話・Fax:082-542-5053

私たちの会は、子宮がんや卵巣がんなど婦人科がんを体験した皆さんとともに定例会や勉強会、ニュースレターの発行、会員と看護師による電話相談(第2第4土曜日の午後1時から4時まで)などを行っています。少しでも安心して生きていける環境を整え、互いに生きていけることを目標に活動しています。

1・2の3で温泉に入る会

〒371-0101
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電話:027-288-7000
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※俵萠子美術館には「1・2の3で温泉に入る会」の役員は常駐しておりません。伝言などを残していただければ、追ってこちらからご連絡させていただきます。

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