小細胞肺がん。副作用がきついが治療を続けてもよいか

回答者●久保田 馨
日本医科大学呼吸ケアクリニック臨床腫瘍部門長/副所長
発行:2024年12月
更新:2024年12月

2022年12月に小細胞肺がんと診断されました。脳への転移が見つかりましたが、放射線照射で消失しました。3カ月後に骨とリンパ節への転移が見つかり、カルボプラチンとエトポシド併用療法と免疫チェックポイント阻害薬での治療を行なっていましたが、2024年4月に心筋炎を起こしました。また6月には副腎に腫瘍が見つかり、放射線治療を行いました。主治医からはアムルビシンを提案されましたが、このまま治療を続けていていいのでしょうか。副作用がきつく体調不良です。

(71歳 男性 栃木県)

心臓の状態を評価することがまず必要

日本医科大学呼吸ケアクリニック
臨床腫瘍部門長/副所長の久保田さん

小細胞肺がんに対しては併用(薬剤を組み合わせた)化学療法が初回治療の基本です。脳への放射線治療後、薬剤による治療が3カ月間も行われていなかったのは何か理由があったのでしょうか? 2024年4月に発症した心筋炎は、免疫チェックポイント阻害薬の副作用と診断されたのでしょうか?

「副作用がきつく体調不良です」とお書きになっていますが、この副作用は心筋炎のことでしょうか? あるいはカルセド(一般名アムルビシン)をすでに開始されたのでしょうか?

初回の併用化学療法+免疫チェックポイント阻害薬による治療の後に腫瘍が大きくなってきた場合は、2次治療として薬物療法が検討されます。

主治医の先生から提案されているアムルビシンは有効性の高い薬剤ですが、「アントラサイクリン系薬剤」に分類されます。このアントラサイクリン系薬剤は心臓への毒性をもつものが多いのです。ご相談者は心筋炎を発症されていますので、心臓の状態を評価することがまず必要だと思います。アムルビシン自体は心臓への毒性はあまり報告されていませんので、心臓の状態が問題なければ治療は可能だと思います。

アムルビシンは体表面積あたり40mg/㎡で使用されることが多いのですが、70歳以上の方には副作用が問題となります。35mg/㎡または30mg/㎡がより適切と思います。ご相談者は体調不良とのこと、その原因を探ることが必要ですが、アムルビシンでの治療を行う場合は30mg/㎡での開始をお勧めします。体調不良で、横になっていることが多いような場合は、がんに対する積極的治療は行わず、緩和ケア中心とすることも考慮されます。

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