トリプレット療法を奨められたが
腰痛で整形外科を受診してMRI検査で前立腺がんの骨転移が疑われ、大学病院で仙骨転移があるステージⅣの前立腺がんと診断されました。PSA値は60、グリソンスコアは4+5の9で悪性度が高いものだと言われました。主治医からはトリプレット療法を奨められましたが、治療効果や副作用はどうなのでしょうか。
(53歳 男性 東京都)
A 脱毛、倦怠感、吐き気、白血球減少などの副作用が

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
トリプレット療法は、男性ホルモン除去療法+ニュベクオ(一般名ダロルタミド:新規抗アンドロゲン薬)+ドセタキセル(商品名タキソテール)の3剤併用療法で、未治療の転移のある前立腺がん患者さんが対象となります。男性ホルモン除去療法+ドセタキセル(一般名)との比較試験でより高い有効性が示されたため、2023年に日本で保険承認された新規治療法です。
トリプレット療法は、とくに転移病巣の数が多い症例に効果があると報告されています。細胞障害性抗がん薬のドセタキセルを6コース行うため、脱毛、倦怠感、吐き気などの消化器毒性、白血球減少などの副作用が一定頻度発生します。
相談者の場合、転移病巣が仙骨転移だけであれば、男性ホルモン除去療法+新規抗アンドロゲン薬[アーリーダ(一般名アパルタミド)やイクスタンジ(一般名アエンザルタミド)など]を軸に、原発巣(前立腺)とその周辺および仙骨転移に対する放射線治療で根治(こんち)を目指す治療も選択肢になるかもしれません。その可能性について主治医と相談されると良いかもしれません。