半年1度のホルモン療法以外、治療法はないと言われたが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2025年1月
更新:2025年1月

頻尿で泌尿器科を受診。PSA値が450と高く、前立腺がんと肺転移が判明しました。ホルモン療法を行った後、ドセタキセルを6サイクル行った後、ジェブタナを5サイクル行いましたが、30台だったPSA値が120近くに上昇したため中止しました。半年に1回のホルモン療法以外今後の治療法はないと言われましたが、他の治療法はないのでしょうか。

(78歳 男性 長野県)

有効性を期待できる治療法はあるが

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

相談者の病状は男性ホルモン除去療法に不応性となった去勢抵抗性前立腺がんであり、タキソテール(一般名ドセタキセル)、ジェブダナ(一般名カバジタキセル)の逐次治療が行われてきたと思われます。ドセタキセル開始以前に、新規抗アンドロゲン薬[ザイティガ(一般名アビラテロン)やイクスタンジ(一般名エンザルタミド)など]もすでに使われていることが推測されます。

現在の病状に対し、標準治療として有効性を期待できる治療法としてPARP阻害薬があります。ただし、PARP阻害薬の適応はBRCA1/2遺伝子変異がある患者さんのみであり、遺伝子パネル検査を受けるか、採血による遺伝子検査を受ける必要があります。

遺伝子パネル検査でBRCA1/2遺伝子変異が陽性と出る確率は10数%程度と報告されており、PARP阻害薬の適応となる確率は5分の1未満ということになります。遺伝子パネル検査の種類によっては同時にマイクロサテライト不安定性(MSH-High)の有無を知ることができ、去勢抵抗性前立腺がんの場合、数%の頻度で陽性と診断されます。

マイクロサテライト不安定性が確認できればキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)という免疫チェックポイント阻害薬が適応となり、治療効果が期待されます。遺伝子パネル検査は全ての医療機関で実施できる検査でないため、主治医と相談されることを提案します。

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