【第十六時限目】リンパ浮腫 リンパ節郭清は、必要最低限にするのが最近の考え方

構成●吉田燿子
発行:2005年2月
更新:2019年7月

リンパ浮腫は日々の努力で改善しよう


リンパ浮腫を防ぐには、リンパ液の流れをよくすることが一番です。その方法として、運動やマッサージがあります。

血液とちがってリンパ液には心臓のように強力なポンプがありません。リンパ液は脈拍や周囲の筋肉の収縮によって、かろうじて流れています。ですから、リンパ液を流れやすくするには、運動やマッサージといった外からの刺激を加えて手助けしてやる必要があるのです。

まずは、腕や足を軽くリズミカルに動かしてみましょう。そうすると、リンパ管が周囲の組織から圧迫されて、リンパ液の流れがよくなります。なかでも水泳や水中歩行などは、水圧がかかる分だけ効果があるといわれています。

それから、リンパ・マッサージも効果があります。リンパ・マッサージとは、リンパの流れに沿って皮膚の表面を優しくマッサージし、リンパ液の流れをよくする方法です。これは足や手の先から付け根に向けて行うのが効果的ですが、まずは手術でリンパ節を郭清した箇所から重点的にマッサージすることが大切です。

要するに、“排水管”が故障しているところのツマリをよくすれば、体全体のリンパの流れがよくなるのです。リンパの流れがよくなるということは、免疫力も高まるだろうし、肌荒れやくすみも改善されてキレイになるはずです!

最近は「リンパドレナージ」といって、エステサロンの広告でも見かけることが多くなりましたが、治療目的なら、本場ドイツの訓練を受けた専門家に施術を受けることをオススメします(日本のエステサロンでリンパ・マッサージと称しているものは、ニセモノが多いんだとか。気をつけてくださいね)。

運動やマッサージ以外にも弾性ストッキングで圧力をかけることも、いい治療になります。これは弾力性の強いストッキングで、脚全体に圧力をかけ、リンパ液の流れを補助してあげるわけです。スイミングスクールに行かなくても、ただお風呂につかるだけでも筋肉に水圧がかかり、リンパ液の流れを促進してくれるのです。

このようにリンパ浮腫は日々の努力で改善し、よくなるのです。悪化させないためには、放置しないことが肝心。そのためには、「リンパ節を郭清するとリンパ浮腫が出る」という事実を知っておかなくてはなりません。

ところがナント、世間にはいまだにリンパ浮腫のことを知らないお医者様がいるというではありませんか。不勉強だと医師を責めても仕方がないです。医師も忙しいのですから、リンパ浮腫ぐらいは、患者のほうで勉強しておきましょう。と、医師を擁護するのは、私自身が忙しさにかまけて新しい漫画を発掘、研究していないからなんですけどね……。

リンパ浮腫用の運動やマッサージのやり方は本や雑誌にも載っているので、自分で勉強してやってみることをオススメします。自分がエステティシャンになったつもりでマッサージするもよし、このときばかりは病気を売り物にして、ご主人にやってもらうのもよし。ああ、砂風呂もいいかもしれませんね。暖かな砂を身体にかけるの��、その圧力と温度でリンパの流れもよくなりそうな気がしますよね。

治療と思って暗い気持ちでやるより、キレイになれると信じてマッサージをしたほうが、効果があるというものです。明るく前向きに楽しみながらリンパ浮腫を予防しましょう!

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