患者のためのASCO特集 ASCO 2011で注目される5つの報告 質の高い生活を長期にわたって過ごすための新知見発表!

取材・文:中西美荷 医学ライター
撮影:柏木龍馬
発行:2011年8月
更新:2013年6月

がん生存者からのメッセージ

患者、家族が必要なすべてのサポートを受けられるように

ルス・レティスさん

ランス・アームストロング財団で活躍し、なおかつがん生存者でもある
ルス・レティスさん

ASCO初日の記者会見において、現在、ランス・アームストロング財団の評価研究部門長として活躍するルス・レティスさんが、18年のがん生存者として自らの経験を語った。その概要とともに、日本の患者さんに向けてのメッセージを紹介する。

がんと共に生きて18年がん生存者の生活向上のために

姉ががんで亡くなって13年後、15歳の時に、私はホジキン肉腫の診断を受けた。私の誕生日は6月22日、蟹座(Cancer)、つまり文字通り" がん" に生まれ、この疾患との闘いが、まさにライフワークとなっている。

診断時、私は歌手のジェシカ・シンプソンと同じ高校の10年生だった。そんな中で、髪の毛も眉もまつげもないことがどんなことなのか、みなさん容易に想像できると思う。しかし私はここで、苦しい闘病生活を乗り切った。

セント・ジュード・チルドレンズ・リサーチ・ホスピタルという素晴らしい施設で、姉も治療を受けたマイヤー先生の治療を受けることができたのである。先生と、ザ・チルドレンズ・オンコロジー・グループ(科学的な発見と献身的な治療によって、小児および青年のがん予防と治療を行うことを目的とする組織)、小児がんのコミュニティ、そして参加した臨床試験が、私の命を救ってくれた。本当に幸運だと感じるし、感謝している。

ただ治療後15年が過ぎた今、その時受けた化学療法、放射線療法によって、心疾患および乳がんのリスクは上昇している。再び、その当時と同じ状況に陥る可能性も否定できない。

私は、生きることのできなかった友人への思いを胸に、生き抜き、結婚までできた。私自身、今ではがんがわかるまでの期間よりも長い時間を、がんと共に生きている。来月6歳になる娘ハンナの成長を見守るためにも、この時間がまだまだ続くことを願っている。

がん生存者は、治療に成功しても、感情的に身体的に、そして日常生活にもさまざま大きな影響が残っている。がん生存者の生活を向上させるためにすべきことは、まだまだ残されている。それを現実のものとするためにも、私自身この学会に参加し、何らかの役割を果たせることを光栄に思っている。また腫瘍学でなされてきた共同研究そして進展の目撃者の1人として、またがん生存者として、心から今日ここにいる方々の努力、仕事に感謝している。

日本の患者さんへの メッセージ

現在、がんと闘っていらっしゃる日本のみなさん、まず何よりも、幸運を! と祈っています。そして患者さんご本人やご家族が、必要なすべてのサ���ートを受けられるよう願っています。

またすべてのがん生存者、がんを乗り越えてきたすべての方々に、思いをはせています。


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