がん治療最前線の米国で治療を受けるための手順と留意点 あなたが米国の病院で先端がん治療を受けることを望むなら

取材・文:増山育子&「がんサポート」編集部
発行:2008年8月
更新:2013年4月

ホームページのヒット件数は月30万件を超える

清水直子さん
「さくらセイブアソシエイツ」代表
清水直子さん

当初、清水直子さんが立ち上げ、それにもと同じ会社の同僚でともに病気持ち同士だった鈴木基弘さんが参画して2003年10月にアメリカ法人の医療コンサルタント会社として立ち上げた「さくらライフセイブ・アソシエイツ株式会社」(以下、さくらライフセイブ)はニューヨークに拠点がある。

現在、スタッフはニューヨークに3人、日本に3人の陣容だ。

「がんに特化したわけでなく、日本で受けられない治療をアメリカで受けられるならそのお手伝いをしたい。また、その逆の場合もあるのでは、と始めたのが最初の動機です」(清水さん)

さくらライフセイブは毎年「ニューズウィーク」に発表される発表される「ベストホスピタルランキング」をもとにその上位の病院の医師との関係を構築している。

「会社を立ち上げて1年半はニューヨークのそれぞれの病院のアジア担当に当社を入れてください、とお願いするのにかかりました」(清水さん)

写真:さくらセイブと協力関係にあるジョンズホプキンズ病院
さくらセイブと協力関係にあるジョンズホプキンズ病院

さくらライフセイブは、現在、アメリカで総合病院として最も優れていると定評のあるメイヨークリニック、ジョンズポプキンズ、がん分野で米国トップとされるメモリアルスローンケタリングがんセンターや心臓外科分野でトップとされるクリーブランドクリニックと協力・提携関係にある。

立ち上げ当初はホームページのヒット件数も月300件程度だったが現在では毎月のヒット件数も30万件を超える。実際の問い合わせ件数は月30件ぐらいだという。

しかし、クオリティ重視の為、セカンドオピニオンを含め、実際に稼働するケースを月に10~15件までに抑えている。

このため、2008年12月末まで予約で埋まっていて、いまから申し込んでも来年の1月か2月になるという

さくらライフセイブは医療専門旅行代理店

過去2年間にさくらライフセイブが扱ったケースの内訳は生殖医療関係が50パーセント、がんを含む難病が35パーセント、飛蚊症が10パーセント、成形手術・美容整形が5パーセントになる。

「がんの種類での内訳は乳がん、前立腺がん、肺がんの順ですね。当社の場合は必ずセカンドオピニオンを取って向こうの病院が引き受けると言わないかぎり向こうに連れて行くことはしません」(鈴木さん)

がんの患者さんの場合、いきなりさくらライフセイブに相談に来ることはまずない。患者さんが病院の医師にアメリカの病院でセカンドオピニオンを受けていいかどうかを相談して、合意の上で、さくらライフセイブがカルテ、フィルム、血液検査の結果まですべてを受け取り英訳してアメリカの病院に送る。

その結果をさくらライフセイブで受け取り、日本語訳して患者さんに届ける。

「日本の病院だと系列等のことであまりいい顔はしないでしょうが、アメリカの病院でセカンドオピニオンを取るのだとわかるそれは少ないですね。特に外科のドクターは向こうに行って手術したいと思っている方が多いですから」(鈴木さん)

セカンドオピニオンを取って、アメリカの病院が受け入れ可能になった場合はどういうシステムになっているのだろうか。

「ニューヨークの病院に入院するとしましょう。私たちが患者さんを空港まで迎えに行きます。そこからホテルまでご一緒し、翌朝、病院に同行します。病院でのドクターとのやり取りは専門の通訳をつけて患者さんが納得できるまでドクターと話し合ってもらいます。簡単にいえば当社は「医療専門旅行代理店」というところでしょうか。個人パッケージツアーと考えていただいてよろしいかと思います」(鈴木さん)


ケース(1)
乳がんのケースでお話すれば、2b期から3期の方で片側の乳房を全摘しなくてはならなくなった患者さんは同じ手術を受けた方の傷跡がケロイド状になっているのを見て、なんとか傷跡が残らない方法で手術できないかと、あちこち病院を捜していたところ、ジョンズポプキンズで手術を受けたらどうだろうというアドバイスを医師からもらって3日間だけ入院、がんを抜き取るという術式でほとんど傷も残らず回復した。

ケース(2)
小児がんの患者さんでお母さんが治療法を捜していたところある病院の医師から海外で認可された薬を使ったらどうでしょうかということでさくらセイブに相談された。カルテ等をニューヨークのドクターに送ったところ、そのドクターが担当医に直接、連絡を入れて、日本では承認されてなかった薬の使い方を指導してくれてアメリカに行かずに治療に成功した。

納得した上での決断が望まれる

ところで費用の問題はどうなっているのだろうか。

「費用はそれぞれのケースで違いますから一概には言えません。向こうはお金がなければ患者さんを診ませんからまずお金を入金してもらってから患者さんを連れていきます。費用が余ればお返しします。
ただ、今はがん保険があります。保険金が下りれば日本の病院に行こうが海外の病院に行こうがそれは患者さんの自由じゃないですか。保険金が出ているから向こうの病院も安心して受け入れてくれるんです」(鈴木さん)

手数料はセカンドオピニオンを取り病院まで行って9000ドル、セカンドオピニオンだけなら2000ドルだ。


ケース(3)
肺がんのケースの場合11日間向こうの病院で手術をして1700万かかった方がいる。内訳は手術代が600万、手術室の借り代が300万、あとベッド代、ホテル代、通訳代、交通費等。

ただ領収書を社会保険事務所か市町村の窓口に提出すれば、海外渡航治療の適用が国保でも社保でもあるから治療費と手術代の一部は戻ってくる。

「海外で手術を受けたいという人が増えてきています。日本と違って手術の件数が圧倒的に違いますから」(鈴木さん)

では、向こうでの滞在期間はどのくらいになるのだろうか。

「移植は別にして長くて1カ月ぐらいでしょうか。到着して1週間以内に手術。病院に入院している期間は1週間ぐらい。残りの20日間はホテルで滞在のケースが多いです。
帰国後は前の病院に戻って今後の治療方針についてドクター同士で相談してもらうということになりますね」(鈴木さん)

患者さんが海外で治療を受けることを希望するならトコトン納得のできるまで話し合ってから決断することが大切である。費用も馬鹿にできないから。


さくらセイブアソシエイツ

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 1755 York Avenue,Suite 36D New York,NY10128
 Tel:(917)721-9422 Fax:(212)289-3396
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