統合医療の膨大な情報を見極め 自分の価値観で行うかを判断
統合医療とうまく付き合うための健康・医療情報の見極め方
「『統合医療』情報発信サイト」では、健康・医療情報の見極め方について、かなり詳しく解説されている。
「統合医療を取り入れるにしても、取り入れないにしても、様々な健康・医療情報の信頼性を、冷静に見極めることが非常に重要です。そのためには、どんな点に注意すべきかを10項目にまとめました」
統合医療に関心のあるがん患者は、情報に振り回されないためにも、この「情報を見極めるための10か条」を知っておくとよいだろう。
1 「その根拠は?」とたずねよう
体験談でも動物実験の結果でもなく、人に対する研究(臨床研究)で効果が確認されていることが大切。
2 情報のかたよりをチェックしよう
「効いた」という情報が、一部の人による偏った情報ではないだろうか、と疑う意識を持つ。
3 数字のトリックに注意しよう
「7割の人に効く」と「3割の人に効かない」では違う印象になる。
4 出来事の「分母」を意識しよう
1つの成功談の裏には、たくさんの失敗があるのかもしれない。何人が試みたのかを考える。
5 いくつかの原因を考えよう
体調が悪くなったとき、目についた出来事を原因と決めつけ、「ここさえ変えればよくなる」と考えがちなので注意する。
6 因果関係を見定めよう
雨乞いをして雨が降ることはあるが、それはたまたま天候が変化しただけ。あたかも因果関係があるような表現には注意が必要。
7 比較されていることを確かめよう
「この方法でよくなった」だけでは効果があるかどうかわからない。「他の方法」や「何もしない場合」との比較が必要。
8 ネット情報の「うのみ」はやめよう
信頼できる情報と怪しい情報が混在している。情報の発信者や発信日、オリジナル情報は何かを確認する必要がある。
9 情報の出どころを確認しよう
「研究で明らかになった」「学会で発表された」といっても、信頼できるとは限らない。誰がどこで発表したのかを確認する。
10 物事の両面を見比べよう
ほとんどの治療には、効果というベネフィット(利益)と、具合が悪くなるリスク(危険)という2つの面がある。
統合医療に関わる情報が世の中にあふれているが、この10か条を意識していれば、信頼できる情報かどうかを冷静に見極めることができるだろう(図6、表7)。


自分に取り入れるかどうかは自分の価値観で判断する
前述した10か条は、情報をふるい分けするための方法である。次に必要なのは、ふるい分けで残った研究の情報が、自分に当てはまるのかどうか判断することだ。
「その判断を行うためには、研究が『誰に対して』、『何を行い』、『何と比較して』、『どのような結果になったのか』を整理してみる必要があります。さらに、研究の情報が自分に当てはまっても、それを取り入れるかどうかは、最終的にはその人の価値観で判断するしかありません。なぜなら、臨床試験では治療効果が100%という結果も、0%という結果も、まず出ないからです。
天気予報で降水確率が50%というとき、傘を持っていく人もいれば、持たずに出かける人もいます。ですから、治療効果が50%という臨床試験の結果の情報からどのような判断を下すかは、あくまでその人の価値観なのです。また、治療には副作用や費用の問題もあります。この治療は治療効果が優れているから使わなければならない、ということではないということを、ぜひ理解して欲しいと思います」
情報があふれる世の中で、どのように情報をふるい分けし、どのように自分に取り入れるか、あるいは取り入れないか。あふれる情報をうまく処理していくことが重要である。
家族や知人の「善意」が患者を苦しめることもある
がん患者が健康食品などを使うかどうかには、家族や知人の影響がとても大きいことがわかっている。
「患者さんに対するアンケート調査を行うと、健康食品を使い始めたきっかけは、家族や知人に勧められて、という答えが最も多くなります。『これがいいと聞いたから、ぜひ飲んで欲しい』などと言われて、使い始めるのです。患者さん本人が納得して使っているケースもありますが、そうではないことも少なくありません。中には、飲むのがつらいのだが、勧められたので仕方なく飲んでいるという人もいます」と大野さんは言う。
良かれと思って行ったことが、善意の押しつけとなり、かえって患者を苦しめることもある。患者を心配する気持ちはわかるが、少し冷静になり、「患者の負担になっていないか」ということも考えて欲しい。
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