統合医療の膨大な情報を見極め 自分の価値観で行うかを判断
統合医療の基礎知識
編集●「がんサポート」編集部
Q1 統合医療とは何ですか?
病気を治療し、症状を緩和する方法には「対症療法」と「原因療法」があります。多くの治療機関で行われている医療は、「対症療法」を中心とした近代西洋医学を基本としています。
しかし、最近では、単に病気だけではなく、人の心身全体を診る「原因療法」を中心とした伝統医学や補完代替医療も必要であるとの考え方が広がりつつあります。
統合医療とは、これらの2つの療法を統合することにより、両者の特性を最大限に活かし、1人ひとりの患者に最も適切な医療を提供しようというものです。
Q2 補完代替医療について詳しく教えてください。
現在主流である西洋医学に基づく医療を補うものを補完医療(complementary medicine)、さらに代わりになる医療を代替医療(alternative medicine)と言います。頭文字を取ってCAMと呼ぶこともあります。
補完代替医療には表1のように、伝統医学などの代替医学、瞑想などの心身医学療法などをはじめ、ハーブやサメの軟骨などを用いた代替バイオ療法やマッサージなどの様々なものが含まれます。

Q3 補完代替医療は有効性が十分に証明されていないにもかかわらず、否定もされないわけは?
西洋医学で定着している「科学的根拠に基づく医療(evidence based medicine:EBM)」とは、多くの臨床データに基づいて統計学的に効果や副作用などが証明された治療法を用いる医療です。
補完代替医療はEBMの観点から見ると、臨床データに乏しいことは事実です。それはランダム(無作為)化比較試験が成立しにくいからです。しかし、現在では、多くの分野でEBMを得るための臨床研究が行われており、科学的なデータが得られているものもあります。
また一方で、現存する伝統医学などの多くは、数百年から数千年の間に淘汰されてきたことが効果の根拠であると考える医療関係者もいます。
Q4 補完代替医療を取り入れた統合医療の意味は?
補完代替医療は西洋医学を否定するものではありません。先端医療技術の発展は常に必要です。一方で���先端医療だけでは解決できない課題があるのも事実です。術後のリハビリや不定愁訴への対応、末期がん患者への精神的ケアを含めた緩和ケアなどは、西洋医学では対応が難しいのが現状で、伝統医学などの補完代替医療が有効な場合もあります。
また、伝統的に体に良いとして行われてきた食事療法や疾病予防・健康増進法などは、予防医学領域において有効なものもあると思われます。
Q5 統合医療にどのように向き合えばいいのか?
主役はあくまでも西洋医学であり、補完代替医療はあくまでも脇役です。西洋医学によるがん治療には手術、放射線、化学療法などがあり、どれも非常に重要な治療法です。
補完代替医療に頼る患者にみられる心理として、それらの治療に伴う痛みや副作用を回避したいというものがあります。それはとても危険な考え方で、手術などで完全に治るがんであっても、治療の時期を逃せば治らなくなってしまいます。
自分が関心のある補完代替医療のメリットとデメリットを十分に理解して、利用するかしないかを冷静に判断することが大切です。また、利用する際には主治医に相談することも忘れないでください。
Q6 補完代替医療を利用する人はどのくらいいますか?
医療機関で医師により行われる医療と異なり、補完代替医療は患者1人ひとりの「使う、使わない」の気持ちに大きく依存しています。
厚生労働省の研究班が2005年にがん患者を対象に行ったアンケート調査によると、「補完代替医療を利用しようと準備している」という準備期、「利用している」という実行期、「利用を継続している」という維持期の人は合わせて40%でした。一方で43%が「利用に関心はあるが、まだ利用していない」という熟考期でした。熟考期は潜在的な利用者といえ、何かのきっかけがあると「準備期」へ移行する可能性があります。
Q7 実際に補完代替医療を利用した人の評価は?

Q6と同じ調査で、補完代替医療のメリット・デメリットについても調べていて、メリットとして一番多くあげられたのが「体力・免疫力が高まる」(53.1%)で、次いで「病気の治療につながる」(50.9%)、「病院の治療に比べて副作用が少ない」(46.2%)、「病気の進行を抑えられる」(46.0%) が続きました。
反対にデメリットとしては、「副作用が気になる」(37.9%)、「依存してしまいそうな気がする」(27.4%)などがあげられました(表2)。
【参考資料】
●日本統合医療学会ホームページ
●「がん補完代替医療ガイドライン第1版2008年」(日本緩和医療学会) ※2016年6月ころ改訂版発行予定
●「がんの補完代替医療ガイドブック第3版」(「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班、「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」班編)
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