香りで不快な症状を緩和し、心身を癒すアロマトリートメント

監修●長谷川記子 薬剤師/アロマテラピスト
取材・文●池内加寿子
発行:2016年4月
更新:2016年6月


アロマトリートメントは やさしくなでるような感覚で

●自分でできるトリートメント法と注意点

「アロマトリートメントを行うとき、精油の原液をそのまま使うと発赤などの炎症を起こすことがあるので、原則としてキャリアオイルで希釈して使います。キャリアオイルにはいろいろな種類がありますが、スイートアーモンドオイルかホホバオイルがお勧めです。がんの患者さんには刺激が強すぎないように通常の100倍に薄めた1%の濃度(キャリアオイル10㏄に精油2滴または、キャリアオイル30㏄に精油6滴をスポイトで滴下)で使用します(図3)。

図3 トリートメントオイルの作り方

がんの患者さんには力を加えず、軽くソフトタッチで滑らかに、ゆっくりなでさするのがコツです。強くもむ、押す、叩くといった体の深部に及ぶ強い刺激は避けてください。リンパ節や患部もトリートメントを避けたほうがよいでしょう」

家族や友人にトリートメントをしてあげるときには、手軽にできるハンドトリートメントがお勧め。長谷川さんが考案したチェリッシュ・アロマハンドトリートメントは15分で行える。長谷川さんは介護・医療関係のボランティアの方や、在宅介護をしている家族などを対象に、講習会を行っている。

チェリッシュ・アロマハンドトリートメントについての問合せ先=㈲チェリッシュ・インターナショナル(長谷川記子)
Eメールアドレス:cherish-int@nifty.com FAX:047-348-2352

●精油の選び方

図4 症状別アロマオイル処方例

「痛みがある場合はフランキンセンス、不眠や落ち込み、うつ状態には、ラベンダー、カモミール、サンダルウッドなどをメインにして、単独または他の精油を組み合わせるのが基本になります(図4)。

抗がん薬治療の副作用で食欲がわかないときは、柑橘系のオレンジやレモンが効果的です。柑橘系の精油はティッシュに1、2滴つけて枕元に置くか、ディフフューザーで香りを漂わせる芳香浴にしてもよいでしょう���アレルギーのある方は、アロマトリートメントの前に、作ったアロマオイルを腕の内側に1滴つけ、24時間パッチテストをして、異常がないか確認しておくと安心です」

症状ごとにお勧めの精油はあるが、基本的には、本人が心地よいと思う香りがその人を癒す香りとなる。ただし、アロマの基礎知識を学んだ上で選ぶことも重要という。

その上で、乳がんの患者にお勧めなのは、イライラや落ち込みを軽減するならラベンダー、ローズマリー、むくみを軽減するなら利尿作用があるサンダルウッドやユーカリなど。

なお、乳がん、子宮がん、前立腺がんや、ホルモン療法中の人は、アネトール、シトラールなどのエストロゲン様成分を含むフェンネル、レモングラス、スターアニス、メリッサなどは避けたほうがよいとのことだ。

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