効果と副作用を客観的に判断し、自分にとってのプラス要因の有無を考える 臨床試験とは何か。患者さんのためになるか
インフォームド・コンセントの例
インフォームド・コンセント(1)
対 象 | 上皮卵巣がん, 卵管がん, 腹膜がんの術後の患者(ステージ2~4) |
---|---|
試験内容 | パクリタキセル(PTX)とカルボプラチン(CBDCA)の2種類の投与方法の比較 3週投与法 毎週投与法 |
デザイン | ランダム化比較試験 |
エンドポイント | 無増悪生存期間、 生存期間 |
参加予定人数 | 400人 |
試験の形態 | 医師主導の多施設共同臨床試験 |
産婦人科の実際「卵巣がんの臨床試験におけるインフォームド・コンセント」第53巻第1号より
インフォームド・コンセント(2)
![]() | ・がん細胞が残存している可能性があること |
![]() | ・補助化学療法が必要であること ・補助化学療法により再発までの期間が延長できること |
![]() | ・標準的な治療法(3週投与法) ・よりよい治療法の開発が必要なこと |
![]() | ・毎週投与法と3週投与法のどちらがよい治療法かをくらべること ・患者が適格なので試験参加を依頼されていること |
![]() | ・それぞれの投与法の内容や投与期間など ・2つの治療法の違い |
![]() | ・2つの治療がランダムに割り付けられること ・ランダム割付けの必要性と具体的な割り付け方法 |
![]() | ・副作用のでるしくみ ・個人差が大きいこと ・主な副作用の種類と頻度、日常生活への影響の度合い ・対処方法 ・2つの治療法での副作用の違い |
![]() | ・参加者本人に対して ・将来の患者に対して |
![]() | ・参加しなくても不利益にならないこと ・不参加のときに受ける治療(3週間投与法か他の選択肢) ・はじまったあとでも中止できること |
![]() | ・プライバシーの保護 ・試験責任者、問い合わせ先 |
産婦人科の実際「卵巣がんの臨床試験におけるインフォームド・コンセント」第53巻第1号より
インフォームド・コンセント(3)
試験で行う治療は、2種類の抗がん剤(パクリタキセルとカルボプラチン)を点滴注射するものです。パクリタキセルの投与を3週に1回行う方法を「3週投与法」、薬を分割して毎週1回投与する方法を「毎週投与法」といいます。パクリタキセルの1回当たりの投与量と回数が異なるだけで、全体の治療回数や検査の頻度などは変わりません。それぞれの治療法は下記のとおりです。 |
(1) 3週投与法 |
![]() |
(2) 毎週投与法 |
![]() |
産婦人科の実際「卵巣がんの臨床試験におけるインフォームド・コンセント」第53巻第1号より
インフォームド・コンセント(4)
この試験に参加することを同意していただいた場合は、パクリタキセル+カルボプラチン3週投与法と毎週投与法の2つの治療法のうち、どちらかを受けていただくことになります。あなたがどちらの治療法になるかは、患者さんご自身や担当医師が決めるのではなく、「ランダムに決める方法」で決めます。検査結果などをもとに、2つの治療を受ける患者さんのグループが均等になるように、5分5分の確率で決めることになります。結果的にこの試験に参加していただいた患者さん400人のうち半分の200人は「パクリタキセル+カルボプラチン3週投与法」を、もう半分は「毎週投与法」を受けていただくことになります。 |
![]() |
産婦人科の実際「卵巣がんの臨床試験におけるインフォームド・コンセント」第53巻第1号より
同じカテゴリーの最新記事
- ビタミンDの驚くべき効果がわかってきた 消化管がん手術後の再発・死亡リスクを大幅に減少
- 乳がんサバイバーの再発恐怖を軽減 スマホアプリの臨床試験で世界初の効果実証
- 国立がん研究センター東病院が取得したCAP認定とは? 国際的な臨床試験が日本でもっと行われるために
- 臨床試験以上に治療効果が上がっているオプジーボ 再発・転移の頭頸部がんにキイトルーダが承認間近!
- 性の多様化によって中咽頭がんが急増中 HPVが原因の中咽頭がんに気をつけよう!
- 頭頸部がんに対する「光免疫療法」の第Ⅲ相試験開始 第Ⅱ相試験の好結果を受け、早期承認への期待高まる!
- 新たにウイルス療法や免疫チェックポイント阻害薬など 悪性度の高い膠芽腫などの脳腫瘍治療に見えてきた可能性
- 日本初!免疫チェックポイント阻害薬の臓器横断的適応 高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)大腸がんにもキイトルーダ承認
- 体重減少・食欲改善の切り札、今年いよいよ国内承認か がん悪液質初の治療薬として期待高まるアナモレリン