病院一丸となった褥瘡対策 風通しの良さで細かな対応
各病棟の看護師も重要な〝準スタッフ〟
対策委員会の目的は大きく3つだ。「予防対策」「発生した場合の治療と原因の検討」「それらの分析」――である。そのために最も大切なのが、患者さんの状態の把握だ。
センターで褥瘡ケアに対応しているのは大塚さんと渡邉さんの2人だが、彼女たちに情報を届けるのが、各病棟に1人ずついる褥瘡・*NSTリンク看護師だ。看護師たちは、患者さんに褥瘡が発生した場合、あるいは褥瘡のある患者さんが入院してきた場合などに、大塚さんや渡邉さんにすぐに報告する。そして、その情報をもとに、大塚さんと渡邉さんが患者さんを回診するという流れになる。

*NST=栄養サポートチーム
状況と原因を観察 適切な寝具・処置を選択
毎週木曜日は、褥瘡のある患者さんを定期的に回診する日だ。10人以上いる対象の患者さんの状態を確認していく。
瘡の状態や、なぜ発生したのか、どういう状況で発生したのか、実際に見て確認をする。
新しく入院して褥瘡がある場合は、家でどのような寝方をしていたのかなども確認する。会話ができる患者さんには、やさしく話しかける。「家ではどんな食事をしていましたか?」「病院の生活はどうですか?」。本人の意識がなければ、機会をみて、家族に聞く。
その観察の結果から、大塚さんらが今後の対応を判断する。現場の看護師で対処が可能な範囲か。適切な寝具の選択はできるか。栄養状況は改善可能か。薬や治療の変更を考えるべきか。経過観察が妥当か……。あらゆる要素を考慮し、チームとしての対応が必要な場合は、担当医師に報告する。

医師も随時回診 現場に沿ったチーム医療
褥瘡についてチームとして対応が必要な場合は、メンバーが随時招集され、それぞれの専門分野に沿った対応がとられる。1年に3回は急な対応が必要でない場合でもメンバー全員が参加して、データ分析や意見交換の会議を持つとともに患者さんを診て回る。
大塚さんは「発症率はゼロに近づけたい。褥瘡が出来ずに患者さんに楽に過ごしてもらうのが目標です。病棟の看護師たちは患者さんの楽な体位などをよく知っているので、相談しながら任せています」と、幅広い「チーム体制」の大切さを強調した。
