抗がん薬の通院治療 院内連携で患者さんとの交流図る
リクライニングチェアで テレビを見ながら

公立昭和病院では、2008年に外来化学療法室として開設され、改築に合わせて名称もより親しみやすく「通院治療センター」と変えた。
施設内には、ベッド3床とリクライニングチェア13床が置かれ、カーテンで仕切られている。点滴には時間がかかるため、患者さんのストレスを和らげるために、ベッドやチェアにはテレビ放映システムが取り付けられたり、小テーブルを使って読書ができるように工夫がなされている。
また、看護師らが持ち回りで作成する、化学療法を分かりやすく説明した「外来化学療法室ニュース」も患者さんに好評だという。
医師・看護師・薬剤師 それぞれの役割

構成メンバーは、各診療科の医師、看護師、薬剤師。がん化学療法認定看護師やがん薬物療法認定薬剤師もいる。人数的には、医師10名、看護師5名、薬剤師3名だ。
センターには常に数名の看護師と薬剤師が常駐しており、各診療科の外来にいる医師と密な連絡を取りながら、点滴治療にあたっている。各診療科で診察を受けてきた患者さんの電子カルテなどを見ながら、安全確実に点滴治療を進めることが最大の任務だ。
また、看護師は点滴治療中の患者さんの副作用や不安などに対応したり、対話の中から体調や悩みをキャッチして必要な事項を医師に報告することも大きな仕事となる。薬剤師はセンターの一角に設置された安全キャビネットでの注射製剤のミキシング(調剤)を行うほか、患者さんに副作用の説明をしたり、患者さんからの質問に答えたりするのが役割だ。医師に相談や助言も行う。
専門の眼を集約 患者さんのよりよい治療のために
「それぞれの専門知識と経験、技能を集約して患者さんのよりよい治療につなげるようにしています」
と、金内さんはチームワークを強調した。
薬剤師の関根均さんは、「患者さんの治療だけでなく、その土台となっている日常生活を大事にすることを心掛けています。センター内の連携では、患者さんの心理状態を考えて、医師の話を噛み砕いて説明したり、看護師の話を補足したりと、施設全体として患者さんとのコミュニケーションが円滑になるようにしています」
と、作業面だけでなく、患者さんに安心して治療してもらえる雰囲気作りにも、チームとしての機能を活かしていると話した。
