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乳がんのホルモン療法による副作用「体重増加」をどう防ぐ?
Q&A フィットネス専門家に聞きました
肥満傾向になってきたら、どう対処する? 日常生活の中での注意点は?

鴇田佳津子さん

梅田陽子さん
回答・鴇田佳津子、梅田陽子さん
Q 体重が増えてきた場合、どこから先が赤信号?
A だれでも、同じ生活をしていても、年齢を重ねるにつれて基礎代謝が落ち、太りやすくなります。体力も衰えてくるので体を動かす機会や量が減り、さらに肥満しやすくなります。
更年期になって卵巣機能が衰えると、抗肥満(太りにくくする)作用のあるエストロゲン(女性ホルモン)の量が少なくなり、内臓脂肪が増えやすくなります。そのうえ、食欲を抑えるレプチンという物質の量が減り、食欲が出てくるという報告もあります。エストロゲンを抑えるホルモン療法はちょうどこれと同じ状態になるといえます。
乳がんでホルモン療法中の方はもちろん、だれでも太らないように注意しなければなりません。
肥満の指標として、身長と体重から割り出すBMI(ボディマスインデックス)という指標がよく使われています。計算方法は上の通りです。健康な人の値は22といわれ、日本では25以上になると、高血圧症や糖尿病などさまざまな疾病に罹る率が高くなるとのことです。
しかし、この数値だけでは内臓脂肪量などを正確に把握できないので、俗に言う隠れ肥満タイプを見抜くことはできません。どうか過信しないようにご注意ください。
普通、体重は食事や排泄の関係で、1日の間に1キロぐらいの幅で増減します。それを超えないように毎日維持することが大切です。増えれば増えるほど、元に戻すのは一苦労。
体重だけでなく、ウエストが目立って太くなってくると、内臓脂肪型肥満の可能性があり、生活習慣病の危険性が高くなるともいわれています。
体脂肪計で測る体脂肪率(女性なら20~25パーセントが正常範囲ですが、測定値には±5パーセントぐらいの誤差があります)などとあわせて、総合的に判断するのがよいでしょう。
肥満の指標 BMI=体重(Kg)÷ 身長(m)2
*BMIは1990年にWHOが発表したもの。現在肥満の判定法として広く用いられています。
健康な人の値��22で、日本では25以上になると、高血圧症などの疾患にかかりやすくなると言われています。
Q 手術後、運動はどの程度までしていいの?
A 痛みや痺れがあったり、動かしにくかったりすると、からだを動かす機会も減り、さらに動きを悪くさせてしまうことがあります。かといって、重いダンベルなどで無理な負荷をかけると逆効果に。まずは、ストレッチがおすすめです。
例えば肩回し。肩の関節は、よく動くところですが、術後は痛みや神経の麻痺のため、動きづらくなっています。急に背泳のように振り回すのでなく、肘を曲げて小さな円を描くように関節をほぐし、しだいに大きく回していきましょう。ストレッチというと、痛みをこらえてジーッと静止していることのように思われがちですが、がまんしながらでは毎日続けられないので、動かせる範囲でリズミカルにどうぞ。
日常動作でもたくさんの関節を動かしましょう。たとえば、朝、いきなりとび起きず、布団の中で関節を動かす。歯ブラシを持ったら、肩の上げ下げ。次に鏡に向かって歯ブラシを筆に見立てて、大きな文字を書くなど。洗濯物を干そうとして急に腕を上げ「あっ!痛いっ!」と朝から落ち込まないように。干す前には、何も持たず、片手ずつバンザイの練習をしてからスタート!無理のない程度に、いろいろと試してみましょう。
Q 効果の上がる減量プログラムを教えて。
A 脂肪がエネルギー源として使われる有酸素運動がおすすめです。こんなプログラムはいかがでしょうか?
(1) 歩数計を買う。
(2) 1週間装着して、今まで通り生活する。
(3) 1週間の平均値を求め、それに500歩加えた歩数を目標にして2週間歩いてみる。ここで膝や腰の具合は大丈夫かをきっちり見る。
(4) 雨天を除くほとんどの日で、達成できたら、また500歩増やす。
(5) (4)を4回繰り返すと2千歩増える。
ここまでを1つの目標にして歩いてみませんか?疲れにくくなる、肩こりが改善するなど、少しずつ変化が見えてくると思います。
Q 食事で上手にダイエットするには?
A 本気で体重を減らすには、運動しながら、食事によるエネルギー摂取量を抑えることが必須条件です。肥満にかかわるのは主に脂肪と糖質。脂肪の熱量は1グラムにつき9キロカロリー、糖質とたんぱく質は4キロカロリーですから、とくに脂肪のとりすぎに気をつけましょう。また、甘いものは中性脂肪に変わりやすいもの。生クリームやチョコレートなどは、脂肪も糖質もたっぷりの食品ですから、ダイエット中は控えめに。
続けやすく、効果的なダイエットの方法には、
(1) 間食を減らす。
(2) 甘い飲み物を水やお茶に代える
(3) 油を使わない調理法を実行する
などがあげられます。
ただし、運動せずに極端な低カロリーダイエットを続けると、いったんは減量できても、筋肉量が減って基礎代謝が落ち、痩せる前よりも太ってしまう「リバウンド」を繰り返すことに。運動は自律神経の調子をよくする働きもあり、脂肪細胞の脂肪の分解や燃焼を効率よくします。リンパ浮腫の予防にも効果があるので、運動は続けていきましょう。
ちょっと待て その一口がブタ(肥満)のもと
いつもの食生活から毎日200キロカロリーの食物を減らして、1カ月続けると、1kgの減量になります。ついつい食べているその一口をちょっと我慢してください。左の表のようなお菓子、飲み物、もう一口のおかずを2、3種類やめてみましょう。できれば運動(ウォーキング30分=100キロカロリー、ジョギング30分=300キロカロリー、サイクリング60分200キロカロリー)もしましょう。
飲み物 | 菓子・果物 | 菓子・その他 | |||
---|---|---|---|---|---|
ジュース | コップ1杯 | グレープフルーツ | 1個 | シュウマイ | 2個 |
コーラ | コップ1杯 | バナナ | 1本 | ウインナーソーセージ | 2本 |
コーヒー牛乳 | コップ3/4杯 | ブドウ(デラ) | 1.5房 | コロッケ | 小1個 |
牛乳 | コップ3/4杯 | リンゴ | 1/2個 | から揚げ | 1個 |
低脂肪乳 | コップ4/5杯 | 柿 | 1個 | 豆腐 | 1/3丁 |
ビール | コップ1杯 | みかん | 3個 | ハム | 2枚 |
ワイン | グラス1杯 | オレンジ | 1個 | ギョウザ | 2個 |
日本酒 | 1/2合 | ピーナッツ | 26粒 | ロールパン | 1個 |
アーモンド | 12粒 | ゆで卵 | 1個 | ||
カステラ | 1切れ | プロセスチーズ | 2枚 | ||
シュークリーム | 半分 | かまぼこ | 4切れ | ||
練りようかん | 2切れ | はんぺん | 1枚 | ||
くずまんじゅう | 1個 | もち | 1切れ | ||
かわらせんべい | 2枚 | まぐろ握り寿司 | 1個 |
も・の・ぐ・さ ダイエット 10の心得
埼玉県・半田郁子さん(48歳・主婦)
ホルモン療法2年目で、50kgから57kgの肥満体に。カロリー計算は面倒でダイエットの決意も鈍ってしまいますが、簡単な工夫で手術前の体重に戻りました。ためしてみてください。
(1) 炒め物は油の代わりに酒
油の代わりにお酒を活用。炒め物に使う油を少しにして、焦げ付きそうになったら、お酒をプラスする。
(2) 揚げ物は月1回に決める
揚げ物はダイエットの大敵。カツ、フライ類は月1回だけと決めて、ほかの日は食べないことにする。

(3) こんにゃく、きのこを利用
毎食1品はごく低カロリーのコンニャク、キノコなどを活用。油を使わない、みそ田楽やおろしあえなどがおすすめ。
(4) ひき肉は豆腐で代用
ハンバーグなどのひき肉料理の肉は半量にして、豆腐で代用するとカロリーをダウンさせることができる。
(5) 甘味はゼリー、ヨーグルト
甘いものが食べたくなったら、低脂肪のフルーツヨーグルトやゼリーに。また洋菓子よりも和菓子を選んだほうが比較的低カロリー。
(6) ドレッシングはノンオイル
サラダにかけるドレッシングはノンオイルタイプに。またはオイル少量にして、バルサミコ酢、ワインビネガー、青ジソ、ニンニク、ハーブなどで香りづけをする。

(7) 飲みものにレモン汁をプラス
飲み物はレモンを絞った氷水や麦茶、ウーロン茶を。アイスティー(砂糖抜き)にオレンジを絞り入れ、オレンジティーにすると、ほどよい甘みに。ビタミンCもとれる。
(8) ゆっくりよく噛んで食べる
満腹中枢が働くまでには時間がかかるので、早食いは食べすぎのモト。ご飯は少量ずつ盛り付け、ゆっくりよくかんで食べる。
(9) 寝る前3時間は食べない
睡眠中はエネルギー消費量が少なく、食べたものが脂肪になりやすいので、寝る前3時間は食べない。
(10) 玄米・胚芽米、雑穀をとる
毎週2回は、玄米、胚芽米、雑穀を混ぜた白米などを主食に。
栄養のバランスもよくなる。
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