膵がんなどの難治がんでも効果が…… WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の最新成果 がん免疫療法の新たな幕開け! がん治療ワクチン最前線
目覚ましい効果を上げた膵がん、肺がん
では、この樹状細胞ワクチン療法の具体的な治療例を膵がんと肺がんでみてみよう(名古屋のミッドランドクリニックでの症例)。
症例(1)膵がん(60代・女性)
ステージ3の膵がんが発見され、08年1月に手術。ジェムザール(一般名ゲムシタビン)による術後化学療法が行われた。ところが、同年11月から腫瘍マーカーのCA19-9が上がり始め、12月にはPET-CTの検査で肝転移が判明。その時点で抗がん剤、TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)の投与が開始されている。
09年1月に、ミッドランドクリニックにて、樹状細胞ワクチン療法のためのアフェレーシスを実施。WT1とMUC1を使い、樹状細胞ワクチン療法を2月から4月までに5回行った。
樹状細胞ワクチン療法を始める前(1月時点)は、CA19-9は587.0とまだ高かったが、2月には309.4、3月には143.7と順調に低下(ただし基準値は30前後)。そして3月のCTでは、肝臓の腫瘍(肝転移)は消えていた。また、4月にはPET-CTを受けているが、やはり異常は認められなかった。
TS-1との併用だが、樹状細胞ワクチン療法を開始してから腫瘍マーカーが急速に下がり、画像上の腫瘍も消えたという例である。
2008.12月

2009.4月


症例(2)肺がん(80代・男性)
08年3月にCTで右肺がんが発見される。09年1月、PET-CTの結果、原発巣および肝臓などの転移巣も増大傾向にあることが判明。しかし、過去に間質性肺炎の経験があることと、高齢であることを理由に、病院では積極的治療は行わず、対症療法で対処する方針となった。
09年2月には、徐々に呼吸が苦しくなり、背中に痛みも出現。3月に入院し、胸水を抜き、持続的な酸素投与を行い、疼痛コントロールが開始された。
しかし、なかなか改善されなかったので、3月から7月にかけて、ミッドランドクリニックにて、WT1を使った樹状細胞ワクチン療法を実施。計7回にわたる投与だ。また、6月には、病院で化学療法を1クール受けた。
7月に撮影したPET-CTでは、右肺のがん、胸膜播種、肝臓や骨の転移巣が、はっきりと縮小していた。持続酸素投与の量は、5リットルから0.5リットルまで激減し、呼吸に伴う苦しさも劇的に改善した。
それから1年近く経過した10年6月には、2セット目の樹状細胞ワクチン療法が終了。今後も治療を継続していく予定だという。


さらに有効性を高める局所投与にチャレンジ
樹状細胞ワクチン療法では、樹状細胞は患者さんのわきの下に皮内注射するのが基本となっている。樹状細胞はリンパ節でリンパ球にがんの目印を覚え込ませるので、リンパ節の近くに注射するのが効果的なのである。
これに対し、がんのできている局所に注射する局所投与という方法もある。この場合、樹状細胞はがん細胞を取り込み、そのがんの抗原を提示する。リンパ球は、WT1などの人工抗原と、患者さん自身のがんが持つ抗原の両方を覚え込み、攻撃を開始する。
「皮内投与に比べ、局所投与のほうが効果の発現が早いという特徴があります。がんのできている部位によって、局所投与ができる場合とできない場合がありますが、できる患者さんであれば、有効性を高めるためにも局所投与を行うのがいいでしょう」
内視鏡が届く範囲であれば、基本的に局所投与は可能で、たとえば膵がんでも局所に投与できるという。今後、局所投与による樹状細胞ワクチン療法が、もっと広く行われるようになりそうだ。
樹状細胞ワクチン療法に活性化リンパ球療法併用も
また、横川さんは、樹状細胞ワクチン療法に、活性化自己リンパ球療法を併用する治療にも積極的に取り組んでいる。樹状細胞を3~4回投与するころには、がんの情報を覚え込んだリンパ球が血液中に出てくる。そこで、採血してリンパ球を取り出し、それを増殖して患者さんに戻すのである。
「通常の活性化自己リンパ球療法と違い、攻撃すべき敵を覚えた兵隊を増やして、攻撃力を高めようというわけです」
免疫療法は現在も急速に進歩し続けている。治療成績の向上を目指して、これからも新しい治療方法が試みられていくだろう。
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※上記のほか、一部の大学病院、国立医療機関でも同様の治療が受けられます。最新の情報に関しては、テラ株式会社のホームページをご参照ください
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