最低のコストで最大の効果を目指した札幌医大発がんワクチン 「ワクチンでがんを治す日」に向けて実用化進む

監修:鳥越俊彦 札幌医科大学第1病理学教室准教授
取材:がんサポート編集部
発行:2007年8月
更新:2013年4月

臨床試験で劇的な効果次々

臨床試験では、人に投与してもいい安全なグレードのペプチドワクチンを合成して、ワクチン単独による治療を実施。2週間間隔で6回皮下注射して、副作用を調べ、臨床効果はどうだったかを調べた。

大腸がんの試験では、最初の症例から劇的な効果があらわれた(下写真)。直腸の手術をしたが再発し、骨盤に浸潤して、下血もあるという63歳の男性。ワクチンを打ったところ、がんが縮小して(縮小率は32パーセント)、下血も止まり、腫瘍マーカーは正常レベルに下がり、退院した。

[直腸がんに対するワクチン療法の効果]

ケース.1
2001.12.26 直腸がん(ステージ3b)にて手術(低位全方切除術)
2003.2 肺転移、骨盤内局所再発 2003.3.31免疫療法開始

[治療前]
治療前
[4回ワクチンの投与後]
4回ワクチンの投与後

MR(縮小率32%)


「ところが、症状が消えたものだから、その患者さんは通院しなくなり、しばらくワクチンを打たなかったら腫瘍マーカーが再び上がってきた。これは大変とワクチンを復活したら、また下がってきた。延命効果が認められ、退院までできた症例です」

効果はほかのがんでも出ている。口腔がんの症例では、手術したが頸部リンパ節でがんが再発して大きな固まりができ、皮膚に浸潤、皮膚がただれてきた。抗がん剤も放射線も効かない、手の尽くしようがないという患者に、ワクチンを6回投与したところ劇的に縮小した。ただし、口腔がんでは10例中、劇的な効果があったのはこの1例のみ。

[口腔がんに対するワクチン投与前後]

ワクチン投与前

ワクチン投与前。大きながんにより皮膚がただれている

ワクチン投与6回終��時

ワクチン投与6回終了時。大きながんが劇的に縮小


次は肺がんの例だ。抗がん剤も放射線も効かなくて、がんの大きさは10センチほどもあった。胸水がたまり、酸素吸入が必要な状態となった。

「ワクチンを6回投与したところ、なんとこの患者さんは、酸素吸入の必要がなくなり、胸水も消えました。がんそのものはなかなか小さくならなかったが、胸水が消えたのが驚きで、患者さんはやがて退院しました」 ワクチン単独の試験成績はいろいろな種類のがんで行っているが、臨床的に効果があった例(腫瘍マーカーの低下、画像上腫瘍が縮小した例)は、大腸がんでは47パーセント、乳がんでは17パーセント、肺がんでは50パーセント、口腔がんでは9例中1例の11パーセント、膀胱がんでは67パーセント。非常によく効くタイプのがんと、なかなか効かないがんとがあることもこの試験によってわかったという。

[サバイビンワクチンを用いた第1相臨床試験結果]

がん種 患者数 副作用 臨床効果があった例
大腸がん 17 なし 7/15(47%)
乳がん 14 なし 2/12(17%)
肺がん 10 なし 5/10(50%)
口腔がん 7 なし 1/9(11%)
膀胱がん 3 なし 2/3(67%)
悪性リンパ腫 2 なし 1/2(50%)
1)サバイビンワクチン(HLA-A24提示、AYACNTSTL)


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