脳転移治療にはガンマナイフが効果的 さらに患者にやさしい新型登場
ガンマナイフ治療の副作用は
転移性脳腫瘍に対するガンマナイフの治療は、通常1~2泊の入院で行う(図4)。

「体力的な負担から、当院の場合2泊3日のスケジュールで入院してもらいます。照射治療は1日で終わります。また、照射時間は腫瘍の大きさや個数にもよりますが、30分ぐらいから長くても3~4時間ほどです」(赤羽さん)
副作用としては、急性期には脳のむくみ(浮腫)が強くなることがある。しかし、これはステロイド薬の投与で落ち着いてくる。問題は放射線壊死だ。再発との区別が難しく放射線壊死かどうかを確定するのが難しい。神経症状を引き起こすような壊死の場合は手術できれば、手術をするそうだ。
また、壊死に対する*アバスチンの治験で、壊死に効果があると確認されたが、まだ、保険適用にはなっていない。
実際にガンマナイフ治療を受けたい場合、どのように施設にアクセスしたらいいか。NTT東日本関東病院では、脳神経外科・ガンマナイフ統合外来を2007年より開設した。「手術を選ぶべきか、ガンマナイフ治療を選択すべきか、またはその併用が必要か、専門的な判断を要します。どの治療がベストか迷う患者さんに対して、それぞれの治療法のリスクやメリットを合わせて説明しています」(赤羽さん)
ただしこの総合外来はセカンドオピニオン外来ではなく、基本的にNTT東日本関東病院で治療を希望している患者を受診の対象としている。すべて予約が必要だ。
またガンマナイフ治療を希望する患者に対して、NTT東日本関東病院では通常外来として、「ガンマナイフセンター」を設置している。
「数や大きさだけで判断せずに、患者さんの状態や様々な条件を照らし合わせたオーダーメイドの治療で、患者さんのQOL(生活の質)の改善を目指していきます」と赤羽さんはにこやかに語ってくれた。
*転移性脳腫瘍の原発巣頻度(脳腫瘍全国統計第12版)(1984-2000) *アバスチン=一般名ベバシズマブ
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