放射線治療の心得 体の負担が少ない、機能を残せるのが利点。治療中は十分な休養、栄養の補給を 放射線治療を安全に受けるために
放射線治療を受けるにあたって注意したい8つの安心患者心得
これから放射線治療を受ける患者さんは、体の状態や生活上の問題などについて、いろいろな不安を感じていると思います。
治療前・治療中・治療後にどのようなことを注意すればよいのか、まとめてみました。
【治療前の質問】
□ がんは、どのような種類で、どこまで進んでいる(病期)のか?
□ がんに放射線治療を行う目的は何か?
□ 放射線治療はどのように行うのか?
□ 放射線治療を何週間受けるのか? 1週間に何回治療を受けるのか?
□ 放射線治療が効く確率はどのくらいか?
□ 放射線治療を受けなかったら、がんが進行、あるいは再発する可能性はどれくらいか?
□ 化学療法や手術、その他の治療が必要か?
□ 治療費はどのように準備すればよいか? 医療保険は使えるか?
□ 治療中に支援を頼めるグループはあるか?
【治療中の質問】
□ 治療中や放射線治療後の数週間はどのような感じがするのか?
□ 放射線治療施設まで自動車を運転して通院してもよいか?
□ 日常生活を続けられるか?
□ 放射線の副作用は? どのように対処するのか?
□ 治療中、あるいは治療後に特別な食事が必要か?
□ 運動してもよいか?
□ 喫煙や飲酒をしてもよいか?
□ 副作用で外見は変わるか?
【治療後の質問】
□ がんが治癒したかどうかは、いつ、どのようにしてわかるのか?
□ がんが再発する可能性はどの程度か?
□ 日常生活や仕事、性生活、運動ができるようになるまでどのくらいの時間が必要か?
□ 治療後の診察や検査はどのくらいの頻度で受けなければならないか?
※がんに関する質問や相談は、全国のがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターなどでもお応えしています���
がん診療連携拠点病院や、がんに関する詳しい情報については、http://ganjoho.jp/ をご覧ください。
①専門医の治療を受ける
がんの放射線治療を行う専門医を「放射線腫瘍医」といいます。がんの放射線治療では、放射線腫瘍医の治療を受けるのが基本です。日本放射線腫瘍学会の認定医はまだ少ないのが実情ですが(前の記事参照)、認定医のいる施設であれば、充実した治療が受けられることを期待できるでしょう。同学会のホームページでも、認定施設を検索することができます。
放射線腫瘍医は、放射線技師や看護師とチームを組み、患者さんの治療に当たります。患者さんの状況を踏まえ、利益とリスクを勘案して最も適切な治療計画を立てます。そのさい、現在の生活上の問題や今後の人生計画を含めて、希望をしっかり伝えましょう。担当の放射線腫瘍医とは、治療後の定期検診まで長い付き合いになります。医師との信頼関係が治療成績にも影響を及ぼすので、何事についてもよく相談したほうがいいでしょう。忙しい医師に聞きにくい質問があるかもしれませんが、看護師などに遠慮せずに聞くようにしましょう。
②十分な休養と睡眠をとる
放射線治療のときは、体がダメージを受けているので、ほとんどの人が疲労感を感じます。患者さんによっては治療が1カ月以上続く場合がありますが、治療回数が重なるにつれて、疲労は蓄積され、治療の終盤にピークに達します。体のダメージを回復させるには十分な休養や睡眠をとることが肝心です。
治療中は過度の仕事や激しい運動は控えたほうがよいでしょう。仕事や家事を続けながら、通院で治療を受ける人も多くなっていますが、職場の人や家族に理解を求め、なるべく休めるときには休みましょう。とくに、治療の終盤になったら無理をしてはいけません。
③十分な栄養をとる
治療中の食事にも気を配りましょう。放射線治療中は体のダメージを回復させるため、より多くの栄養が必要になります。ビタミンやミネラル、たんぱく質が豊富で、栄養バランスの取れた食事をするよう心がけましょう。
強い疲労感があったり、副作用で胃腸障害が出たりして食事をとりにくい場合は、口当たりのいいものや消化のよいものを食べる、食事を小分けにするといった工夫をしてみましょう。一方、生ものなどの消化の悪いもの、熱いものや冷たいもの、カフェインや香辛料などの刺激物は控えましょう。また、薬も治療効果に影響を与えるので、常用している薬があれば、忘れずに医師に伝えましょう。わからないことがあったら、医師や看護師、栄養士に相談してください。
④禁酒と禁煙
お酒は口やのどの粘膜、胃腸に負担をかけるので、治療中は控えましょう。喫煙は放射線治療の効果を低下させたり、合併症のリスクを増やしたりするといわれています。治療中はもちろん、治療後も禁煙を心がけましょう。
⑤副作用対策をする
放射線を当てると、がんだけでなく、増殖の盛んな正常組織も障害を受けやすくなるため、さまざまな副作用が起こります(くわしくは34頁の特集参照)。副作用には、皮膚障害や胃腸障害など治療中に起こる早期反応と、治療後に組織の壊死や潰瘍、肺線維症、委縮膀胱などが起こる遅発反応に分けられます。放射線治療を乗り切るために、副作用について医師や看護師とあらかじめよく相談しておきましょう。副作用には個人差があります。何らかの症状が現れたら、医師や看護師にすぐに知らせて適切なアドバイスをもらい、対策を取りましょう。
⑥入浴はぬるま湯で
基本的に入浴してかまいませんが、治療中は皮膚がダメージを受けやすいので注意しましょう。湯冷めしない程度のぬるま湯に入り、肌に優しい石けんやシャンプーを使うようにしてください。治療では放射線の照射部位を示すため、患者さんの体に印をつけます。印が消えないように、強くこすらないようにしましょう。
⑦スキンケアをする
治療中は皮膚がダメージを受けやすいので、皮膚を刺激しないようにしましょう。とくに、日差しの厳しい季節に直射日光に当たるのはさけましょう。化粧品や香水をつけたり、針灸やマッサージを受けたりすることも控えてください。衣服は肌触りがよく、刺激の少ないものを選びます。また、副作用で肌がヒリヒリするとき、やけどのときのように氷で冷やす人がいますが、冷やしすぎは皮膚によくないので注意しましょう。
⑧治療後も定期検診を
治療後も体調が回復するまで、しばらくは無理をせず、十分な休養と睡眠をとるように心がけましょう。また、治療後に重大な副作用が現れることもあるので、定期検診は欠かさず受けるようにしてください。
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