がん細胞だけを狙い撃ちする放射線療法「ホウ素中性子捕捉療法」
2012年2月
「ホウ素中性子捕捉療法はがんに期待できる効果が出ているので、次は加速器の完成が目標」と語る 山本哲哉さん 放射線治療は、いかにがん細胞だけに放射線を集中させるかが課題。ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞に集積したホウ素と中性子を反応させて、がん細胞を選択して殺す、全く新しい形の放射線療法だ。 中性子とは?「ホウ素中性子捕捉療法」といっても、初耳の人が多いはず。しかし、筑波大学付属病院脳神経外科講師...
新・先端医療
2012年2月
「ホウ素中性子捕捉療法はがんに期待できる効果が出ているので、次は加速器の完成が目標」と語る 山本哲哉さん 放射線治療は、いかにがん細胞だけに放射線を集中させるかが課題。ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞に集積したホウ素と中性子を反応させて、がん細胞を選択して殺す、全く新しい形の放射線療法だ。 中性子とは?「ホウ素中性子捕捉療法」といっても、初耳の人が多いはず。しかし、筑波大学付属病院脳神経外科講師...
2012年1月
「情報誘導手術で腫瘍摘出範囲を安全に、正確に決定できるように なりました」と話す 村垣善浩さん 脳腫瘍は、後遺症を残さず、腫瘍をできる限り摘出するのが目標。そこで、腫瘍の完全摘出を目指して東京女子医科大学では、脳神経外科と先端生命医科学研究所が手を組み、「情報誘導手術」を開発した。同科教授の村垣善浩さんによると「腫瘍の90パーセント以上を摘出できるようになり、生存期間が延長している」という。イン...
2011年12月
「気管食道シャント法が、 患者さんの選択肢の1つとなる ことを期待しています」と話す 塚原清彰さん 治療のためとはいえ、声を失うことは患者さんにとって大きなダメージだ。ここに新たな選択肢として登場したのが、人工喉頭(気管食道シャント法)。東京医科大学八王子医療センター頭頸部外科講師の塚原清彰さんは「ほとんど練習する必要もなく、装着してすぐに声を出せるのが最大のメリット」と、話している。 喉頭摘出で...
2011年11月
「いつかセンチネルリンパ節に転移のない早期胃がんは内視鏡治療で治るようになることが目標」と話す竹内裕也さん 乳がんなどで一般的になっているセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検。慶應義塾大学病院では、これを早期胃がんに応用している。外科講師の竹内裕也さんは、腹腔鏡下手術と組み合わせることで「センチネルリンパ節に転移がなければ、小さな傷で無駄なリンパ節郭清を省き、胃の切除範囲を縮小することが可能...
2011年10月
「乳がん皮膚転移に苦しむ患者さんのために、全国に動注化学塞栓療法が広まって欲しい」と話す滝澤謙治さん 乳がんの皮膚転移が進行すると、患部が崩れ、悪臭を放ち、患者さんにとって大変つらい病気となる。しかもこれまで有効な治療法がなかった。しかし、そこに大きな希望となる治療法が現れた。聖マリアンナ医科大学の滝澤謙治さんが動注療法に工夫を凝らし、この皮膚転移に救いの道を拓いた。 胸の動脈を塞栓 [乳房周辺の...
2011年9月
「リンパ管細静脈吻合術で リンパ浮腫の完治を 目指しています」と話す 光嶋勲さん がん手術後、リンパ浮腫に苦しむ患者さんは少なくない。これまでは決定的な治療法がなかったが、ここ数年、微小血管とリンパ管をつなぐ微小血管手術が進歩し、大きな期待を集めている。この技術を牽引してきた東京大学医学部付属病院副院長で形成外科教授の光嶋勲さんは、「これからはリンパ浮腫が完治する人がどんどん出てくるはず」と語る。...
2011年6月
「胃がんのリスクを考慮し、個々に合った治療をしたい」と話す古田隆久さん 胃がんの発生に深く関与するといわれるピロリ菌。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などでピロリ菌が見つかると除菌治療が行われるが、最近その成功率の低下が指摘されている。これに対して浜松医科大学臨床研究管理センター准教授で消化器内科医の古田隆久さんは遺伝子検査を導入。個々の患者さんにあった「オーダーメードの除菌治療」を実施することによって、ほぼ...
2011年5月
QOLを重視する 原 尚人さん 若い女性にも多い甲状腺がん。その治療では、首に大きな手術痕が残る。また首の筋肉の萎縮など、さまざまな後遺症に悩まされる。筑波大学外科学(乳腺甲状腺内分泌)教授の原尚人さんは、こうした後遺症を防ごうと、内視鏡を利用して、ほとんど傷痕を残さない最小限の切開で行う手術法を編み出した。全摘でも傷口は3センチ 触診と超音波でがんの部位を確認し、首の3カ所にマジックで印を付...
2011年4月
江戸川病院放射線科部長の 浜 幸寛さん 正常組織を傷つけることなく、放射線をがんだけに集中させるのが放射線治療の理想。この理想を実現したといわれるのが「トモセラピー」だ。江戸川病院放射線科部長の浜幸寛さんらは、厳しい精度管理のもとに、従来の放射線治療では難しい肺がんや脳脊髄転移にまでトモセラピーを応用している。脳、肺、背骨を1度に照射 患者さんの体に合わせた固定具の上に横たわり、装置の中に入る...
2011年3月
聖マリアンナ医科大学 放射線医学講座教授の 滝澤謙治さん 骨転移の痛みが治療後たった2時間ほどで消える骨セメント療法。動けなかった人が歩けるようになるなど治療効果は著しい。ここにエックス線透視装置の特徴を生かして、より短時間で安全にセメントを注入するISOP法を開発したのが、聖マリアンナ医科大学放射線医学講座教授の滝澤謙治さんだ。 肺から脊椎に転移 骨セメント注入療法にISOP法を用いること...