EGFRエクソン20挿入変異陽性に新薬登場 切除不能な進行・再発非小細胞肺がん

[2024.12.1] 取材・文●「がんサポート」編集部

肺がんと診断されると、がん細胞増殖に関わるドライバー遺伝子変異の検査が必須です。その中の1つEGFRエクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がんに新規抗体薬ライブリバントが、2024年11月20日に発売されました。非小細胞肺がんではEGFR遺伝子変異は最も多く、その中でエクソン20挿入変異陽性は3番目に多いことが知られています。

分子標的薬の登場で治療選択肢が増える

肺がん治療の選択肢が増えたと話す後藤さん

2024年11月29日、Johnson&Johnson主催の新薬発売記者発表会が都内で開催されました。国立がん研究センター東病院副院長、呼吸器内科長の後藤功一さんによる新規抗体薬アミバンタマブの有効性と安全性についての講演がありました。

後藤さんはまず、肺がんの罹患数と死亡数について、「死亡数はプラトー(平坦)になりつつあるが、罹患数は近年増加傾向」との話があり、さらに「EGFR遺伝子に変異が起こると何故がん化にアクセルがかかるか」についての解説がありました。

そして、現在の進行肺がんに対する薬物療法については「抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3つがあり、なかでも分子標的薬は身体への負担が比較的少なく、特定のがん遺伝子変異に効果的だが、特定の遺伝子変異がなければ使用はできない」と説明。

また、肺がんの組織型については、「小細胞肺がんは約15%、残りの85%は非小細胞肺がん。かつての薬物治療は抗がん薬が主体で予後もよくなかったが、現在は、非小細胞肺がんは遺伝子変異を調べて、それに適応した分子標的薬を使用することができ、治療の選択肢がかなり増え、予後も以前と比較するとかなり改善してきました」と、分子標的薬を高く評価しました。

新規抗体薬ライブリバント

後藤さんは新規抗体薬のライブリバント(一般名アミバンタマブ)の「国際共同第Ⅲ相PAPILLON試験」について次のように述べました。

「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能の進行・再発非小細胞肺がん患者を対象に、ライブリバントと化学療法(カルボプラチン+ペメトレキセド)の併用療法による1次治療が、化学療法単独と比較して、病勢進行または死亡のリスクを61%低減。同試験では、ライブリバントと化学療法の併用療法による全奏効率(ORR)および初回の治療後の無増悪生存期間(PFS2)の有意な改善も示されました」

ライブリバントの作用機序については、「非小細胞肺がんの治療において、EGFRとMETを標的とした日本では初めてのヒト型二重特異性モノクローナル抗体で、抗体依存性細胞障害(ADCC:免疫細胞であるNK細胞を活性化させ、抗腫瘍作用を示す)活性を併せ持っている」と述べました。

EGFR遺伝子変異陽性の1次治療/エクソン20挿入変異について、『肺癌診療ガイドライン2024』では、「a.エクソン20の挿入変異にはカルボプラチン+ペメトレキセド+アミバンタマブ併用療法を行うよう強く推奨する。b.エクソン20の挿入変異にはEGFR-TKI単剤療法を行わないよう強く推奨する」と記載されているとのことです。

後藤さんは、今回の話を以下のようにまとめました。

・非小細胞肺がんにおけるEGFRエクソン20挿入変異陽性の頻度は約1〜2%と希少であり、マルチ遺伝子解析を用いて陽性患者を同定する必要がある。

・EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんは、EGFR-TKIの治療効果が乏しく、予後不良。

・ライブリバントは抗ヒトEGFR及び抗ヒトMETヒト型二重特異性モノクローナル抗体であり、リガンド結合阻害作用、免疫細胞を介した細胞傷害作用の2つの作用機序によって、抗腫瘍作用を発揮する新規薬剤。

・EGFRエクソン20挿入変異陽性の未治療進行非小細胞肺がんを対象とした「国際共同第Ⅲ相試験PAPILLON試験」において、ライブリバント+化学療法は、化学療法と比較して、PFSを有意に延長(中間値PFS 11.4カ月 vs. 6.7カ月)。

・ライブリバントの主な副作用として、インフュージョンリアクション(主な症状は発熱、寒気、頭痛、発疹、嘔吐、呼吸困難、血圧低下、アナフィラキシーショックなど)、間質性肺疾患、皮膚障害、静脈血栓塞栓症、爪囲炎、好中球減少症、末梢性浮腫、肝機能障害などがあり、注意が必要。