2023年1月
「パドセブは3次治療にかかわらず奏効率が40%もあり、現在1次治療の化学療法との比較試験が行われています。2、3年先には結果が出るでしょう」と語る小林恭さん 長い間、化学療法以外の治療法がなく、進行・再発がんには打つ手が非常に限られていた膀胱がん(尿路上皮がん)。2017年12月、免疫チェックポイント阻害薬の保険適用を皮切りに、2021年には新たに2剤が承認され、今日、その状況は急激に変わりました...
2023年1月
「今後どのように実臨床の場で利用していくかはこれからの課題ですが、将来は外来診療の補助としてアプリを使ってもらうなど、この成果を生かしたいですね」と語る明智龍男さん がん種にかかわらず、がん患者さんの多くは治療が終わっても、大なり小なり再発や転移の恐怖を抱えて日常生活を送っていることはよく知られています。とくに乳がん患者さんは、10年生存率は90%と予後はいいものの、10年以上経っても再発すること...
2022年12月
「日本でCAP認定を取る病院が増えるのは、とてもいいことだと思います。CAPの認定を取る病院が増えれば、もっと国際的な臨床試験が行えることにつながる1つの方法だと思います」と語るマーク・コルビーさん 2022年8月、国立がん研究センター東病院は、現在の日本では唯一、病院としてCAP(米国病理学会)の認定を取得しました。国際的な臨床試験に参加するには、精度管理の行き届いた臨床検査が求められるため、C...
2022年11月
「緩和ケア医療はこの10数年で格段の進歩を遂げ、今は苦痛を和らげる方法も薬もたくさんあります。それでも、どうしても耐えがたい苦しみから逃れられない状態になったときには、セデーションという選択肢があることを知っておくことは大切だと思います」と語る清水 研さん 医学の進歩によって、がんはもはや死に直結する病ではなくなってきたものの、それでもやはり、自身や家族ががんと告知された瞬間、それまで遠かった「死...
2022年10月
「粒子線治療は今までは特別な治療でしたが、今回の保険適用により標準治療として当たり前の治療になってきました」と語る石川 仁さん 2022年4月、5つのがんに対する粒子線(陽子線、重粒子線)治療が、保険で治療が受けられるようになりました。2年ごとに行われる診療報酬改定で、前回2020年には新たに保険適用となった疾患が1つもなかったことを考えると大きな前進で、患者さんにとって朗報です。粒子線治療は普通...
2022年9月
「副作用症状が出たら、まずは漢方薬を使ってみてください。費用も安いし、体にも優しい。一度の処方でたとえ思った効果が出なくても、漢方薬の選択肢はいくつもあります」と語る上園保仁さん およそ1500年前に日本に伝えられた中医薬は、日本の風土に合わせて少しずつ変化し、江戸時代には日本独自の漢方薬として体系化された。ただ、経験則主体の漢方薬は、エビデンス重視のがん医療現場ではほとんど使われてこなかったのが...
2022年9月
「患者さんやご家族に、がんゲノム医療に関しての理解を深めてもらうようにしています」と語る田辺記子(たなべのりこ)さん 近年、その人に発症したがんの特徴を知るためのがん遺伝子検査や、多くの遺伝子を一度に調べるがん遺伝子パネル検査が登場している。患者さんのがんの遺伝子変異を検査し、その検査結果により、効果が期待できる薬剤や治験を探したりすることで、適切な治療選択が可能となり、薬物療法で治療成績を上げて...
2022年2月
「下部直腸がんにおいては、腫瘍は肛門から非常に近い位置にあり、TaTMEでは、腫瘍の位置や状態が直近に確認できて確実に手術ができます。当院では、今まで人工肛門にしなければならなかった患者さんが、肛門を温存できる確率が高くなりました」と語る松田武(たける)さん 大腸がんの手術では、腹腔鏡下手術、ロボット手術といった手術が全国で行われているが、とくに下部直腸がんに対しては、経肛門的直腸間膜切除術(Ta...
2022年1月
「病変が一瞬でも、ほんの一部分でも、カメラに映りさえすれば、AIなら見逃さず、見つけ出すことができます」と語る斎藤さん 内視鏡による診断と治療が世界でもっとも進んでいるのは日本。医療機器の多くを海外からの輸入に頼っている我が国だが、消化器内視鏡だけは日本製が世界シェアの90%以上を占めるという。日本の内視鏡技術に世界が注目する中、「大腸内視鏡AI」が登場したのは、2019年3月のことだった。それか...
2021年12月
「膵がんの集学的治療が標準治療になった今、膵がんの予後を改善するのは栄養管理、栄養療法です」と語る松尾洋一さん 10年くらい前まで「手術が可能なら手術、不可なら化学療法」と、ほぼ二択しかなかった膵がん治療。しかし、近年では手術と化学療法、場合によっては放射線治療などを組み合わせた集学的な治療により、難治がんながら、予後の改善が期待されるようになっている。それと合わせて期待されているのが、術前、術後...