
2020年3月
「抗がん薬治療のために病院に行く日だけをカレンダーに書くなんてやめましょう。いかに自分の生活に治療を合わせていくかを考えて過ごしてほしい」と語る鴨川郁子さん 大腸がん手術、術後の抗がん薬治療には、合併症や副作用が伴う。とくに抗がん薬治療は通院で行い、期間も数カ月に及ぶため、副作用との付き合いも長く続くことになる。日々患者に寄り添うがん看護専門看護師の視点から、術後の合併症と抗がん薬治療の副作用にど...


2020年2月
「肺臓炎をうまく抑えて、化学放射線療法後、イミフィンジの投与をできるだけ早く開始したほうが良い結果が出ています」と語る大西 洋さん 非小細胞肺がんⅢ期における化学放射線療法は標準治療だが、最近、治療後の免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果が認められ、その治療が標準治療化されてきた。今後はさらなる延命効果を望むために、様々な治療の組み合わせが臨床試験を通じて模索されていきそうだ。ここでは手術不能非...


2020年2月
「1、2年くらいで効果が薄れてしまう分子標的薬の使う順番を検討することは今後の課題です」と語る久保田 馨さん がんの中でも予後が悪い肺がん。その中で驚くほど生存率を伸ばしてきたのが、手術不能または再発した、つまり進行した非小細胞肺がんの治療だ。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新薬が相次いで登場し、遺伝子解析により〝効く人に効く〟薬剤を選択できる個別化医療が進化しつつある。さらに、治療薬...


2020年1月
「転移した去勢抵抗性の患者さんに、その次の治療法が模索されていたのですが、そこに登場したのがルテチウムPSMAだったのです」と語る榎本 裕さん ホルモン療法が効かなくなった(去勢抵抗性になった)と聞くと、今後の治療法が限られたようで焦りを感じる前立腺がんの患者は少なくないだろう。しかし、実際には去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の治療は、ここ5年ほどで驚くほど使用できる薬剤が増えている。そして、20...


2019年11月
たまおき みょうゆう 「スピリチュアルケアとは、患者さんが何かを見つけようとしているプロセスを全力で邪魔しないようにすることです」と語る玉置妙憂さん 大慈学苑看護師として医療現場で忙しい日々を送っていた玉置妙憂さんは、2012年、末期がんの夫を自宅で看取った。延命治療を拒んだ夫が強く望んだ自宅での「自然死」。樹木が少しずつ枯れて最後は土に戻るような〝美しい死〟を目の当たりにし、誘(いざな)われるよ...


2019年11月
「第Ⅱ相試験の結果によって、さらに効果的な集学的治療が開発できるのではと考えています」と語る立松典篤さん これまでエビデンス(科学的根拠)の極めて少なかったがん悪液質に対する集学的治療に関して、日本初の臨床試験「*NEXTAC-ONE」が実施され、その安全性と忍容性が認められた。その結果を受けてNEXTAC-TWO試験の登録が2017年8月に開始され、2021年以降に結果が公表される予定となってい...


2019年11月
「適切な遺伝子の情報は、自分のためのものなのだと思って役に立ててほしい」と語る四元淳子さん 2019年6月、がん遺伝子パネル検査が保険適用になった。遺伝子情報を治療へ繋げていく試みは、スタートラインについたと言える。ただし、疾患に関連する遺伝子情報は、本人のみならず親族にも関わる繊細な問題だ。そんな様々なデリケートな部分をコンサルテーションするのが、認定遺伝カウンセラーだ。患者は今後自分の遺伝子情...


2019年11月
「患者さんは痛みが起こると悪化していると思いこみ我慢しがちですが、痛いときは痛いと言いましょう」と語る鈴木 勉さん 米国では麻薬性鎮痛薬オピオイドの過剰摂取(乱用)による死者が急増し、2017年にトランプ政権が非常事態宣言を発令した。これに対し、わが国では『ダメ。ゼッタイ。』普及運動で知られる麻薬撲滅運動が功を奏し、日本は世界的に見ても薬物生涯経験率が最も低い国だ。反面、がん治療で使われる医療用麻...


2019年10月
「光免疫療法は、頭頸部がんや食道がん以外のがん腫へのアプローチの可能性も。だからこそ、世界的に大きな期待が寄せられているのです」と語る田原信さん がん細胞だけを破壊し、副作用もごく少ない治療法として世界的に注目されている光免疫療法(PIT)。治療歴のある局所再発頭頸部がんを対象にした米国での第Ⅱa相臨床試験では、全奏効率約45%、完全奏効(CR)率約14%、全生存期間(OS)の中央値が9.1カ月と...


2019年10月
「HPV感染による中咽頭がんは日本でも増え続けています」と語る山下拓さん 婦人科がんである子宮頸がん発症の原因となるのが、HPV(ヒトパピローマウイルス)への持続的な感染だ。このHPVへの感染が、男性に多い中咽頭がんの発症に大きく関与しているということをご存じだろうか。近年、HPVの感染が原因で起こる中咽頭がんが世界的に急増しているという。もちろん日本も例外ではない。これまでの中咽頭がんとは異なる...
