2020年12月
「肺がんの検査は、遺伝子パネル検査の方向にありますが、コストベネフィットも考える必要があるでしょう」と語る久保田 馨さん 近年、進行・再発非小細胞肺がんの薬物治療は選択肢が増え、目覚ましい進歩を遂げている。2002年に登場し、2004年EGFR遺伝子に変異のある患者に有効だとわかったイレッサを皮切りに、解明された遺伝子変異ごとの治療薬の開発が進み、非小細胞肺がんの薬物治療は細分化してきた。そんな中...
2020年11月
「体に優しい粒子線治療を、保険で行うことができればすばらしいことです」と語る石川 仁さん 粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療)の研究で日本は世界をリードしてきた。そのデータを元に、この10年ほどで、アメリカを始め世界中で粒子線治療が行われるようになっている。日本の粒子線治療は、2016年以降少しずつ保険診療が認められるようになってきたが、保険適応となっているのはごく一部のがんに過ぎない。手術がで...
2020年11月
「日本の漢方医は皆、西洋医学の医師でもありますから、西洋医学と東洋医学、両方の目で診て最善を尽くします」と語る平崎さん がんは、体内の誤作動が重なって作られた〝自身の一部〟。そんな視点でがんという病を捉えると、治療を受ける心持ちはもちろん、日々の暮らし方も変化するだろう。がんが発生する原因を知り、生活習慣の見直しや漢方がそれを防ぐ手立てになり得ることを学んだ第1回に続き、第2回では、漢方が実際にが...
2020年10月
「気、血、津液が体の中をスムーズに巡っている状態が、体のバランスがとれたいい状態です」と語る平崎能郎さん がんは、体の中に現れた敵。そう思って、闘いに勝つべくつらい治療に耐えるわけだが……。ここで考えてみてほしい。そもそも、がんは敵なのだろうか? ほかならない自身の体の中で作られたものである以上、がんは〝自分の一部〟でもある。そんな視点で、がんという病を見つめ直すと、治療に向き合う心持ちに変化が生...
2020年10月
「ツカチニブという新薬が承認されました。海外のことですが、患者さんには知っておいてもらいたい情報です」と語る原 文堅さん ハーセプチンの登場で、HER2陽性乳がんの薬物療法が大きく前進したが、その後も次々と抗HER2薬は開発されている。最近ではエンハーツが承認されたばかりだ。今回、HER2陽性切除不能・再発転移乳がんにとって注目したいのが、脳転移の患者にも効果が高い可能性のあるツカチニブという経口...
2020年10月
「2020年4月から、5個以内のオリゴ-リカランスに対する体幹部定位放射線療法が保険適用になりました」と語る新部 譲さん がんの遠隔転移があるとステージ4と診断され、全身治療が行われることになる。しかし、少数の転移であるオリゴメタスタシスなら、体幹部定位放射線療法のような局所治療を加えることで、長期生存が可能になり、場合によっては治癒も期待できることがわかってきた。とくに原発巣が制御されているオリ...
2020年8月
「胃がんは、まだ大腸がんのようにいろいろな薬剤が使えるという状況ではありませんが、進行再発胃がんでの臨床試験結果を参考に、新たな治療法を模索していくことになるでしょう」と述べる東風 貢さん 進行胃がんではあるが、手術可能なのがステージ(病期)Ⅲの胃がんだ。ただし、目に見えない微小転移による再発の可能性もあるため、術後補助化学療法は必須だ。その治療において、従来のS-1単独と新規のS-1+ドセタキセ...
2020年8月
「食道がんなのか、胃がんなのか、それとも全く違うがんとして治療する必要があるのか。長らくコンセンサスがなかった食道腺がんですが、今ではかなり整理されてきました」と話す石原 立さん 文字通り、食道と胃の境界、あるいは食道と胃をまたいで発生するがんを「食道胃接合部がん」と呼ぶ。耳慣れない病名だが、それもそのはずで、日本ではまだ稀ながんとされる。それでも「近年は徐々に患者さんが増えてきていると感じます」...
2020年8月
「術前のグラスゴース予後スコアによる予後予測,手術合併症予測によって、より早期から支持栄養療法の介入を行ったり,術後合併症に備えた手術を行うなどの個別化治療を行うことができる可能性がある」と語る大島 貴さん 栄養状態の評価方法であるグラスゴー予後スコア(Glasgow Prognostic Score:GPS)は、非小細胞肺がんをはじめ、乳がんや腎細胞がんなどの予後予測因子であることが知られている...
2020年7月
「他の治療法とのコラボレーションによって、より強力に子宮体がんの治療を行えるようになることが大切です」と語る小此木さん 子宮体がんは、年間罹患者数1万6,724件(※国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録・統計2017年)、死亡者数が2,601人(※同2018年)であり、年々増加傾向にある。そんな子宮体がんの手術不能例に対して大きく期待されるのが放射線治療の一つ、重粒子線治療だ。婦人科腫...