手術と抗がん剤で乗り切ろう!
卵巣がん丸わかり完全図解
婦人科がんに詳しい
礒西成治さん
卵巣がんは、早期発見が難しく、女性のがんのうち最も死亡率の高いがんですが、治療では手術後の化学療法が効果をよく発揮します。
卵巣がんが疑われたら、まずどのような検査をして、治療経過はどのようになるのでしょうか。基本から解説します。
Q 卵巣って、どんな臓器?
子宮の左右に1 つずつある親指大の器官です。
卵胞は成熟して卵子になると、卵らんかんさい管采から卵管に導かれます。また、卵巣には、プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンを分泌し、月経や妊娠、出産にかかわる働きを担っています。
Q 卵巣って、どんな種類があるの?
(日本婦人科腫瘍学会編『患者さんとご家族のため子宮頸がん・子宮体がん卵巣がん治療ガイドラインの解説』より一部改変)
卵巣にできる腫瘍の85パーセントは良性腫瘍です。腫瘍は発生する組織によって、左のような3種類に大別され、それぞれに、「良性」「悪性」の腫瘍(がん)と、良性と悪性の中間的な性格をもつ「境界悪性」の腫瘍があります。卵巣がんの約9割は、卵巣の表面を覆う表層上皮にできます。
Q 自覚症状は?
卵巣の腫瘍は、良性・悪性にかかわらず、卵巣が多少腫れている程度で自覚症状がまったくありません。そのうえ、進行が早く、がん細胞が直接おなかの中に広がりやすいので、腹膜や肝臓、胃、胸膜などに転移し、気がついたときには転移による症状が出ていることもあります。
Q 卵巣がんの検査は?
手術の前には、さまざまな検査を行います。
同じカテゴリーの最新記事
- dose-denseTC療法も再脚光を ICI併用療法やADC新薬に期待の卵巣がん
- 第75回日本産科婦人科学会 報告 ~慈しみの心とすぐれた手技をもって診療に努める(慈心妙手)が今年のテーマ~
- 2つのPARP阻害薬の力で大きく進化! 卵巣がん治療最前線
- 卵巣がん化学療法に増える選択肢 適応拡大のリムパーザと遺伝子検査なしで使える新薬ゼジューラ
- 進行・再発卵巣がんに選択肢が増える 初回治療から分子標的薬リムパーザが使える!
- 無作為化比較試験(JCOG0602)結果がASCO2018で報告 進行卵巣がんにおける化学療法先行治療の非劣性認められず
- 子宮頸がんはアバスチンを加えた3薬剤、子宮体がんではダヴィンチ、卵巣がんには新薬リムパーザが
- 待望の新薬リムパーザ、日本でも承認・販売! 新薬登場で再発卵巣がんに長期生存の希望が見えてきた
- 根治性、安全性、低侵襲性実現のために様々な術式を開発、施行 婦人科がん手術の現状
- 婦人科がんの難治性腹水に対する積極的症状緩和医療 腹水を抜き、必要な成分だけ戻す「CART」に期待