68歳で骨髄異形成症候群に。治療法は?

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2010年11月
更新:2013年12月

  

骨髄異形成症候群と診断されました。医師から「今後、白血病に移行する可能性がある。完治できる方法は造血幹細胞移植だが、年齢的に難しい」と言われています。 骨髄異形成症候群とはどういう病気でしょうか。移植以外には、どのような治療法があるでしょうか。

(千葉県 男性 68歳)

A アザシチジンやレブラミドなどの薬に効果が期待できる

骨髄異形成症候群は、血液を造るもとになる細胞である造血幹細胞に異常が出る病気で、急性骨髄性白血病の前段階の病気のこともあります。

血小板と白血球の減少、さらに貧血の症状を伴い、汎血球減少症と診断されることが多いです。「症候群」ですから、いろいろなタイプがあり、なかには、急性骨髄性白血病に非常に高い確率で移行する骨髄異形成症候群もあります。

骨髄異形成症候群の治療は、55歳ごろまでであれば、一般的には造血幹細胞移植が望ましいのですが、68歳のご相談者は移植の対象になりません。移植の対象にならない患者さんに対しては、これまでは良い治療法がほとんどありませんでしたが、期待される治療法が近年、幾つか出てきました。1つはアザシチジン(一般名)で、点滴(皮下注射、あるいは静脈注射)で投与します。骨髄異形成症候群に対し、欧米諸国ではすでに第1選択の治療法で、日本でも、近いうちに承認される見通しです。

レブラミド(一般名レナリドミド)という経口薬(飲み薬)は、主に5番の染色体の長腕(5q)が欠損している5q欠損骨髄異形成症候群に対して大きな効果があることがわかりました。この5q欠損骨髄異形成症候群では、頻回に赤血球輸血が必要となる、輸血依存性になることも少なくないのですが、レブラミドを服用することで、輸血の必要がなくなったり、染色体異常が消失するなど病気の改善が得られます。レブラミドは5q欠損骨髄異形成症候群に対して日本でもすでに使われています。

さらに、エクジェイド(一般名デフェラシロクス)という経口の鉄キレート剤を内服すると、輸血による鉄過剰状態が改善され、輸血の必要性を少なくすることもわかってきました。エクジェイドは骨髄異形成症候群の不応性貧血治療の補助剤としての効果だけでなく、この病気の改善をもたらす可能性があります。

汎血球減少症=血液の中には赤血球、血小板、白血球の3系統の血球が存在する。この3系統の血球のいずれもが減少している状態。貧血、血小板減少症、白血球減少症の3つの症状があるような病態のこと

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