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ストーマケア:QOL向上・治療継続のカギは「造設後」 漏れない、におわない、かぶれない!ストーマの正しいお手入れ方法

監修●松浦信子 がん研有明病院看護部WOC支援室師長
取材・文●池内加寿子
発行:2013年6月
更新:2019年10月

  

「遠慮せずストーマ外来を一度は訪れて活用するように」と
松浦信子さん

直腸がんなど消化器がんの手術後、ストーマを造設するケースが増え、漏れやにおいなどのトラブルに悩む患者さんが後を絶たない。ストーマ外来で患者さんの相談にあたっているWOC看護師に、ストーマ・ケアのA・B・Cをアドバイスしてもらった。

おなかにつくる便の排泄口

■写真1 単孔式ストーマと双孔式ストーマ

ストーマとは、手術でおなかにつくる便や尿の出口(排泄口)のことをいう。消化器ストーマ(人工肛門)と尿路ストーマ(人工膀胱)があるが、ここでは前者に絞って見ていこう。

「人工肛門という言葉から、機械を装着するのかと心配なさる方も多いのですが、ストーマは自分の腸でつくるものです。腸の端をおなかの表面に出し、折り返すようにして粘膜を皮膚と縫合し、直径2.5~3cm程度の山型(写真1)にするのが標準的です」

と話すのは、がん研有明病院看護部WOC支援室師長の松浦信子さんだ。

ストーマは粘膜なので、赤く、常に粘液で濡れて湿り気があり、腸のぜん動運動で伸縮する。手術直後はむくみがあるが、手術後2~3カ月後くらいで小さくなり自分の腸の大きさに固定する。

口の中の粘膜と同様の強度があるので、多少、引っ張ったり圧迫しても問題なく、ストーマを下にうつぶせになっても大丈夫である。外から水やばい菌が入ることもないという。

ストーマとひと口に言っても、その目的や部位、形、期間などによってさまざまある。消化器ストーマには、結腸(大腸)ストーマと小腸ストーマがあり、治療法によって永久的ストーマと一時的ストーマに分けられる。

また、ストーマの出口が1つの単孔式と2つの双孔式にも分けることができる。患者さんは適切なケアをするためにも、自分のストーマの種類・特徴を知っておくことが大切になってくる。

WOC看護認定看護師=創傷(Wound)・ストーマ(Ostomy)・失禁(Continrnce)など、皮膚・排泄ケアに関わる知識・技術を有する看護師 ぜん動運動=消化管などの臓器の収縮運動

ストーマ装具の選び方のポイント

■写真2 消化器ストーマ装具ストーマ袋(上)・凸型の面板(下左)とツーピースの入浴用装具

「ストーマは直腸と違って、便を貯めたり我慢したりする排便調整の機能がないため、便意や排便後のすっきり感もなくなります。

自分の意思とは無関係に便が自動的に排泄されるので、便を受けて貯めるストーマ装具による排便管理が必要になります。患者さんが戸惑わないように、当院では手術前の外来からオリエンテーションを行っています。手術前には、ストーマの位置を決める大切な準備をします。手術後、実際におなかから便が出るのを見たときの患者さんの驚きは大きいものです。ストーマ装具の交換方法など、頭で理解しても、実際の日常生活をひと通り体験しながら慣れるまでには3カ月程度かかることが多いようです」

ストーマ装具は、便の形状やストーマの形、おなかの形、皮膚の状態に合わせて選ぶのが基本だ(写真2)。

●ストーマ装具……各メーカーからストーマ装具が発売され、その数は数千種類ともいわれる。装具は、おなかに貼る10cm四方の角形や丸形の「面板」と、便を貯める「ストーマ袋(パウチ)」の2つのパーツからなる。防水、防臭効果があり、適正な使い方をすれば漏れやにおい、かぶれを防ぐことができ、入浴、水泳等のスポーツも可能だ。

●面板……面板は粘着力とともに皮膚を保護してかぶれを防ぐ作用、汗などの水分を吸収する作用、かぶれを治す作用などを併せ持つ皮膚保護剤でできている。板の平らなものと凸型があり、柔らかさや溶けやすさなど材質もさまざまなので、合わない場合は変更する。

●ストーマ袋……ストーマ袋には透明と肌色があり、便を捨てる排泄口の形や大きさもいろいろある。一般に、病院では手術後の便の状態を確認するため透明のものを使うが、1カ月くらいで操作に慣れたら、中身の見えない肌色に替えることがお勧め。

●ワンピースとツーピース……ストーマ装具には、面板と袋が一体のワンピースタイプ(単品系装具)と、面板と袋を取り外せるツーピースタイプ(2品系装具)がある。どちらも面板や袋の種類が豊富です。自分のストーマの形や便の形状、おなかの状態に合わせて選ぶ。

ワンピースタイプは、安価で面板が柔らかいものが多い。ストーマに高さがあり、しわのないおなか、固形便に向いている。ワンピースタイプでも、凸型の面板ならしわのあるおなかにも使える。柔らかな面板は、水様便で溶けやすく、ストーマ周囲の皮膚に便がつくので、小腸ストーマには不向きとなる。

ツーピースタイプは、面板を貼ったまま袋だけ交換できる利点がある。入浴用の袋や新品の袋に自在に替えられる。面板に接続リングがついているので、ストーマ周囲の皮膚をしっかり押さえられ、しわのあるおなかにも向いている。

●装具交換の頻度……一般的に週に2回程度が装具交換の目安となるが、交換周期が2~7日用まで短期、中期、長期用の装具が用意されている。毎日交換すると面板をはがす刺激で皮膚を傷めたり、逆に、長期間貼り続けると皮膚が便で汚れてかぶれの原因になることがある。

自分の便の水分量や皮膚の状態、発汗量、季節などに合わせて交換のサイクルを調節する。

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