2021年1月
「古くは膀胱がんの原因に染料との関係が指摘されていました。現在は喫煙がもっとも大きな原因と考えられています」と湯浅健さん 尿路上皮がん(膀胱がん・腎盂がん・尿管がん)の進行・再発転移がんに対して、米国において新たな薬剤が承認された。「パドセブ」という抗体薬物複合体だ。免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダに次ぎ、これまで進行した尿路上皮がんの治療の選択肢は、化学療法以外にはほとんどなかった困難な...
2020年12月
「肺がんの検査は、遺伝子パネル検査の方向にありますが、コストベネフィットも考える必要があるでしょう」と語る久保田 馨さん 近年、進行・再発非小細胞肺がんの薬物治療は選択肢が増え、目覚ましい進歩を遂げている。2002年に登場し、2004年EGFR遺伝子に変異のある患者に有効だとわかったイレッサを皮切りに、解明された遺伝子変異ごとの治療薬の開発が進み、非小細胞肺がんの薬物治療は細分化してきた。そんな中...
2020年12月
「現在進行中の第Ⅲ相臨床試験の結果を出したとき、光免疫療法はさらなる展開に向けて歩みを進めることになるでしょう」と語る田原 信さん 病巣に光を照射してがん細胞のみを死滅させるという、これまでにない機序で注目を集める「光免疫療法」。その光免疫療法に用いる新薬「アキャルックス」が、治療歴のある局所再発頭頸部がんを対象に、今年9月、世界で初めて日本で承認、治療に用いる照射システムも承認された。国内第Ⅰ相...
2020年12月
「多発性骨髄腫は、昔は長くて5年ほどの生存率でしたが、完治の可能性も見えてきました」と語る鈴木憲史さん 新しい治療薬サークリサが、再発または難治性の多発性骨髄腫に対して承認され、2020年8月販売開始になった。近年使える薬剤が増え、治療の可能性を拡げている多発性骨髄腫だが、7つの機能を持つという強力な新薬登場にさらに大きな希望が見えてきた。サークリサの国際共同第Ⅲ相試験に参加した日本赤十字社医療セ...
2020年11月
「膵がんにエビデンスのある治療が1つ増えたことは、医療者、患者さんにとっても喜ばしいこと」と語る古瀬純司さん 難治がんで知られる膵がんに6年ぶりに新薬が登場した。イリノテカンをリポソームに封入した新薬「オニバイド」が、ゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した局所進行・再発膵がんに対する2次治療の薬剤として2020年3月に承認され、6月に販売開始されたのだ。もともと膵がんに使える薬剤は多くはなく、多剤...
2020年11月
「エンハーツの効果は非常に高いですが、間質性肺炎には注意が必要です」と語る原 文堅さん HER2陽性乳がんの薬物治療では抗HER2薬が使われるが、日本では2020年5月に新しい抗HER2薬「エンハーツ」が登場した。国際共同第Ⅱ相試験で驚くほどの奏効率と無増悪生存期間を示し、第Ⅲ相試験を待たずして承認されたのだという。現時点では、標準的な1次治療、2次治療を終えた後、3次治療で使用する薬剤と位置づけ...
2020年10月
「ガイドラインは、日本乳癌学会で専門医が総力をあげて作成した最も信頼性の高い情報源」と語る佐治重衡さん 近年、がん治療は医療者任せにせず、患者も病気や治療の知識を求めて、医療者と充分なコミュニケーションをとって臨むものとなってきている。そして、医療者が使うものであった『診療ガイドライン』も、各がん種で患者用のものが増えている。なかでも、その先駆けとなったのは乳がんのガイドラインだ。新たに改訂された...
2020年10月
「ツカチニブという新薬が承認されました。海外のことですが、患者さんには知っておいてもらいたい情報です」と語る原 文堅さん ハーセプチンの登場で、HER2陽性乳がんの薬物療法が大きく前進したが、その後も次々と抗HER2薬は開発されている。最近ではエンハーツが承認されたばかりだ。今回、HER2陽性切除不能・再発転移乳がんにとって注目したいのが、脳転移の患者にも効果が高い可能性のあるツカチニブという経口...
2020年10月
「2020年4月から、5個以内のオリゴ-リカランスに対する体幹部定位放射線療法が保険適用になりました」と語る新部 譲さん がんの遠隔転移があるとステージ4と診断され、全身治療が行われることになる。しかし、少数の転移であるオリゴメタスタシスなら、体幹部定位放射線療法のような局所治療を加えることで、長期生存が可能になり、場合によっては治癒も期待できることがわかってきた。とくに原発巣が制御されているオリ...
2020年8月
「食道がんなのか、胃がんなのか、それとも全く違うがんとして治療する必要があるのか。長らくコンセンサスがなかった食道腺がんですが、今ではかなり整理されてきました」と話す石原 立さん 文字通り、食道と胃の境界、あるいは食道と胃をまたいで発生するがんを「食道胃接合部がん」と呼ぶ。耳慣れない病名だが、それもそのはずで、日本ではまだ稀ながんとされる。それでも「近年は徐々に患者さんが増えてきていると感じます」...