2013年10月
国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医員の森実千種さん 病期(ステージ)について語る際に肝臓、胆道、膵臓を合わせて「肝胆膵領域」として論じられることが多い。いずれも近接する臓器だが、がんに着目すると、関連すること、個別に考えなければならないことなど様々だ。その基本を聞いた。肝臓、胆道、膵臓はどのような関係にあるのですか?■肝臓・胆道・膵臓の位置関係肝臓は、右上腹部にある人体で最も大きな臓器で、成...
2013年10月
「4年ぶりとなる改訂では治療法に大きな変更が加えられます」と話すガイドライン改訂委員長の國土典宏さん 第2版の『肝癌診療ガイドライン』が出版されて4年。その作成後にも新たなエビデンス(科学的根拠)が数多く登場。それらの成果を反映した第3版が近々刊行される。その内容は、肝がん治療にどんな変化をもたらすのだろうか――。肝がん診療の指針・案内役となるガイドライン■図1 ガイドラインの推奨度とは?グレード...
2013年10月
わからないことがあったら主治医を通じて栄養士に相談してください」と話す高嶋浩子さん 肝・胆(道)・膵がんの治療後の食事では、消化管への侵襲や残存機能の程度、合併症によって食事の内容は異なる。膵がんの治療後は進んで栄養士に相談するようにしよう。肝がんと食事■図1 肝臓・胆道・膵臓の働きとは?肝臓の仕組みと働き肝臓には小腸で吸収された栄養を含む静脈血が門脈を通って大量に流れ込んでいる。また肝臓は人体の...
2013年10月
「効果と副作用を検討し、納得いく医療を受けてほしい」と話す奥坂拓志さん 膵がんのベストの治療法は何か。臨床試験などのエビデンス(科学的根拠)をもとに、これら標準治療を明記しているのが、『膵癌診療ガイドライン』(日本膵臓学会)だ。定期的に見直されるこのガイドラインは、いま世界中で続々と明らかになっている膵がん薬物治療の新しい臨床試験結果を反映して、大きく変わろうとしている。期待の試験結果とともに紹介...
2013年10月
「膵がん手術は難易度が高いので、症例数の多い病院を選ぶことも大切です」と話す高橋秀典さん 膵がんの手術は体への負担が大きく、術後の再発や転移も多い。そこで、がんそのものだけでなく再発しやすいとされる周辺部位にも放射線を照射し、同時に抗がん薬治療も行う「術前化学放射線療法(術前CRT)」が注目されている。この治療を2002年から行い、300例の実績をもつ大阪府立成人病センター消化器外科の高橋秀典さん...
2013年10月
「膵がん治療の武器は増えています。諦めないでください」と伊佐山浩通さん これまで、治療のオプションが少ないとされてきた膵がん。とりわけ、腹膜播種を起こしたとき、治療法は更に厳しくなる。東京大学附属病院では、胃がんの腹膜播種に対し、腹腔内に抗がん薬を直接投与することで治療効果を高めている。これを、膵がんの腹膜転移にも応用する試みがなされている。すぐに打つ手がなくなる膵がんの化学療法膵がんで手術ができ...
2013年10月
「6年ぶり改訂のガイドラインには新たな治療も追加されます」と話す宮崎 勝さん 胆道がんは、患者さんの数が少ないがゆえに、治療に関するエビデンス(科学的根拠)も少ない。今回、そんな胆道がん治療の拠り所となる『胆道癌診療ガイドライン』が6年ぶりに改訂される。それを受けて胆道がんの標準治療はどう変わるか――。最新ガイドラインに採用された、グレードシステム■図1 「胆道癌診療ガイドライン」第2版 おもな改...
2013年10月
「TACEからネクサバールへ切り替えのタイミングが重要」と話す池田公史さん肝がんの治療は着実に進歩している。その証しの1つとなる5年生存率を見ると、1978~1985年には9.5%だったものが、1996~2005年には39.3%まで上昇している(日本肝がん研究会データ)。この背景には、検査法と治療法のめざましい進展がある。ここでは、進行肝がんに焦点を当て、最近の動向やトピックスを紹介する。肝臓の状...
2013年9月
北里大学医学部消化器内科学主任教授の小泉和三郎さん 日本人のがん罹患数を見ると、最も多いのは胃がん。死亡率は肺がんに次いで2番目だ。がんの仕組みから、対処法、治療の展望までを2014年3月の日本胃癌学会総会の会長を務める北里大学の小泉和三郎さんに聞いた。 胃がんってどんな病気?■胃と周辺の臓器胃には、いろいろな食べ物が入ってきます。そして、食べられたものに含まれるタンパク質をバラバラにする胃液と...
2013年9月
腹腔内併用療法を、着実に進めてきた石神浩徳さん 長きにわたり、有効な治療法が確立されていなかった胃がんの腹膜播種。そこに登場した、TS-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法と胃切除が、安全かつ高い治療成績を示している。腹膜播種予防への同法の応用など、新たな可能性へも展開が期待されている。 腹膜播種のある胃がんに腹腔内投与を併用する■図1 胃がんの腹膜播種『胃がん治療ガイドラインの解説』を改変...