2025年1月
「タグリッソは効果が高いのに副作用は軽く、社会生活や家庭生活を大きく変えることなく治療でき、利便性の点からも使いやすい薬剤と言えるでしょう。それが治療ラインを前へ前へと進める原動力になってきました」と語る加藤さん EGFR変異陽性の進行肺がんの1次治療薬として使われてきたタグリッソですが、2022年からは手術後の補助療法としても使用できるようになっています。また、2024年に報告された「LAURA...
2025年1月
「EGFR変異陽性をEGFR阻害薬で治療していると、MET遺伝子が増えて耐性の原因になることがあります。METも標的とするライブリバントは、そうした患者さんにも効くのではないかと期待されています」と語る安田さん EGFRエクソン20挿入変異は、EGFR遺伝子変異の一種ではあるものの、タグリッソやイレッサなどのEGFR-TKIがまったく効きません。新薬開発は苦戦が続いていましたが、ライブリバントが化...
2021年1月
「日本でもロズリートレクのようなバスケット試験を、主な遺伝子変異についてだけでも行えば、臓器横断的な薬剤の適応が可能だと思います」と語る瀬戸貴司さん 共通の遺伝子変異があれば、がんの種類を問わず効果が期待できるがん治療薬。一見、夢のような分子標的薬ロズリートレクが、世界に先駆けて日本で迅速承認され、販売開始されてから1年あまりが経った。販売開始直後には日本癌治療学会ほか3学会合同による『成人・小児...
2019年7月
「新しい薬の期待が大きく、今はそれに目が向いています」と語る平嶋泰之さん 婦人科がんの中でも早期発見が難しく、多くの場合見つかったときはステージ(病期)がⅢ、Ⅳ期と進行しているため、予後が悪い卵巣がん。しかし、化学療法の進歩で進行・再発がんでも、治療の選択肢が増えた。そのため、卵巣がんの発症率は増えているものの、死亡率は減ってきている。そんな中で、今、注目されていた卵巣がんの初回化学療法後の維持療...
2019年2月
「近い将来、〝免疫療法なくして肺がん治療はない〟時代が来ます」と語る高橋和久さん 2018年末、肺がん治療に対する免疫チェックポイント阻害薬の適応が大幅に拡大された。遺伝子検査で分子標的薬が適応にならなければ、PD-L1発現の有無に関わらず、免疫チェックポイント阻害薬を使った免疫療法を受けられるようになったのだ。2019年の幕開けと同時に、肺がん治療は免疫療法主流の方向に大きく舵を切った――。 治...
2018年2月
「化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、血管新生阻害薬。この4種類をいかに組み合わせて効果を出していけるか、その可能性は限りなく広がっています」と語る西尾誠人さん EGFR遺伝子変異が、がん細胞の増殖に関わることが突き止められて10余年。いまや遺伝子変異検査によってがん細胞のタイプを見極め、自身のがん細胞の性格に合った薬物治療を受けられる時代になった。さらに、オプジーボに代表される免疫...
2017年2月
「T790M変異を持つ患者さんにとって、タグリッソは初回治療のような効果が期待できる薬剤になります」と語る加藤晃史さん 昨年(2016年)3月、第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)として、タグリッソが承認された。第1世代、第2世代、第3世代と、現在4剤あるEGFRチロシンキナーゼ阻害薬。それぞれの薬剤をどのように使い分けていけばいいのか。薬が次第に効かなくなる耐性化の問題、国内初とな...
2016年9月
ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の再発がんに対する新しい治療薬が次々に開発されている。一方で、その新薬をどの時点で使用するのが効果的かという判断に基準はなく、医師の裁量に任されてきた。そこで、医師同士の意思疎通や判断の均質化につながるものとして「Window」というツールが注目されている。その内容について伺った。 ホルモン療法が基本 乳がんの4つのサブタイプのうち、「ホルモン受容体陽性HER...
2016年3月
「効果がなくなれば再生検し、早期に適切な薬へ切り替えていただきたい」と話す木浦勝行さん EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの治療を大きく進展させた「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)」。しかし、使い続けると1年ほどで耐性が生じるのが課題となっていた。最近の治療戦略について、耐性に効果を発揮する新しいタイプのEGFR-TKIの登場を含めて紹介する。 EGFR...
2016年2月
「薬価の高い分子標的薬を使用しないで済むという以外に、一番の目的は患者さんに喜んでいただけることです」と語る高橋直人さん 慢性骨髄性白血病(CML)は、かつては数年で急性に転化してしまい、予後が良くないという厳しい病気だった。しかし、21世紀になって分子標的薬グリベックが救世主のごとく現れ、生存率をぐんと上げた。一方で、グリベックには服用し続けなければいけないという難点もある。そこに切り込んだのが...