胆道がんに9年ぶりの新薬がもたらす未来

[2021.07.27] 取材・文●「がんサポート」編集部

2021年7月15日、メディアセミナー「胆道がんにおけるがんゲノム診断に基づく分子標的治療薬がもたらす新しい未来」(主催:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社)が、オンラインLIVEで開催された。

冒頭、胆道がんの患者会「デイジーの会」代表の渡邊眞佐子さんからビデオメッセージがあり、その後講演は、日本胆道学会の理事長で東北大学大学院消化器外科学分野教授の海野倫明さん、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社臨床開発エグゼクティブディレクター植田英治さんが務めた。

「絶望を希望に変えられる日が訪れることを!」

胆道がんの患者会「デイジーの会」代表の渡邊さんは、肝内胆管がんステージⅣと診断され、手術、術後肝転移、術後化学療法と3年3カ月間の治療を経て、寛解。現在経過観察中という。

患者会設立の目的を「胆道がんを〝治せる〟がんに!」とし、胆道がんの診断・治療の向上のため研究開発支援、患者支援、疾患啓発を行っている。ビデオメッセージの最後に「私は奇跡的に助かったが、胆道がんと診断され、1年あまりで命を落とす方も少なからずおられます。絶望を希望に変えられる日が来ること望みます」と結んだ。

胆道がんとは

胆道がんは部位別に、肝内胆管がん、肝門部領域胆管がん、遠位胆管がんに分けられ、発症早期にはほとんど自覚症状は認められないという。

東北大学大学院消化器外科学分野教授の海野倫明さんは、がんの統計2019年のデータから「胆嚢がん、胆管がんの死亡数は、男性9,400人、女性9,100人、計18,500人。また、日本におけるがん部位別5年相対生存率(2009~2011年診断例)から、24.5%とかなり低く、がん全部位平均の5年間相対生存率64.1%を大きく下回っている」という。

さらに、院内がん登録からがん診療拠点病院における病期分類(2016年分類)でも、肝内胆管がん患者さんの臨床病期では、ステージⅣが最も多く、全体の54.6%を占めている。

分子標的薬ペマジールに期待

現在の胆道がんの治療は、まずは根治を目指して、手術によりがん病巣部の切除になる。手術による切除が難しいケースでは、薬物療法を行う。

今回、新発売になったペマジール(一般名ぺミガチニブ)は、1日1回経口投与のFGFR阻害剤で、「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」の適応で、日本で初めての分子標的薬。

しかし、ペマジールを処方する際、いくつかのハードルがあり、全国でがんゲノム検査可能な施設は219施設のみであり、とくに地方においては検査施設が遠距離に位置する場合もあり、治療機会を逸する可能性も高くなる。

また、パネル検査を実施する際にも、胆道がんの標準治療(例えば、ジェムザール+TS-1など)を終了していない患者さんは、保険適用にならず全額自己負担となる。パネル検査は、1患者1回のみ保険適用であり、複数回の検査はできない。さらに検査の期間も現在は6~8週間程度要し、その期間中亡くなられる方もいる。

新薬に辿り着くためには、諸々問題もあるが、海野さんは、「患者さんが十分に納得できる治療法を得るためには、主治医の先生と時間をとって何回も相談することが大切。そこになんらの希望のある道がみえてくるのでは」と結んだ。

最後にインサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社の植田さんは、ペマジールのコホートA(FGFR2融合または再構成遺伝子の患者)試験による治療効果および生存期間について、全奏効率35.5%、無増悪生存期間中央値6.9カ月、全生存期間中央値21.1カ月と述べた。

また、注意すべき有害事象として、高リン血症が最も多く、次いで脱毛症、味覚異常、下痢、疲労、口内炎などが認められ、他に爪毒性、網膜剥離などの症例もあったが、いずれもグレード1もしくは2程度であった。

これらの結果より、FGFR2融合または再構成遺伝子を有する治療歴がある局所進行または転移性胆管がんの患者さんにおけるペマジール治療のベネフィットが示されたとし、今後も同薬のベネフィット確認をするために、さらなる試験が必要と結んだ。

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